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新興市場見通し:ひとまずリバウンドも警戒ムードなお濃く、IPOは3社登場

先週の新興市場では、マザーズ指数が3週間ぶりに大幅上昇し、600pt台を回復した。日米の金融緩和強化などを背景に、日経平均が週間で2836.60円と過去最大の上げ幅を記録。新興市場でもリスク回避的な売りが和らぎ、前の週に大きく下落していたメルカリなどマザーズ指数への寄与が大きい銘柄がリバウンドした。ただ、このところの荒い値動きによりマザーズ売買代金は低調だった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+17.1%であったのに対して、マザーズ指数は+11.7%、日経ジャスダック平均は+8.3%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で35.0%高、ミクシィが同21.5%高、JMDCが同27.9%高となった。ミクシィは従来予想より減益幅が縮小する見通しと発表し、JMDCなどは医療系ベンチャーとして賑わった。売買代金上位では、新型コロナウイルスワクチンの開発で注目されるアンジェスが大幅高。また、リアルワールドやティーケーピーが週間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。一方、前の週に強いリバウンドを見せたSansanが反動で同20.2%安となり、グッドスピードが下落率トップとなった。ジャスダック主力ではワークマンが同9.0%高、ハーモニック・ドライブ・システムズが同13.4%高、東映アニメーションが同18.7%高と大きく上昇。ワークマンや東映アニメでは一部証券会社の投資判断引き上げが観測されている。セリアは利益確定の売りも出て同0.3%安。また、fonfunや中京医薬品が週間のジャスダック上昇率上位に、トミタ電機などが下落率上位にそれぞれ顔を出した。IPOでは4社が新規上場し、3月26日のアディッシュとサイバーセキュリティクラウドは前評判どおりの堅調な初値形成となった。

今週の新興市場では、マザーズ指数の戻りは鈍くなる可能性がある。先週の当欄でも指摘したとおり、信用評価損益の悪化などに伴う個人投資家の売りが一巡し、目先のリバウンドに期待した買いも入ってマザーズ指数はひとまず500pt台を脱した。しかし、マザーズ売買代金は500億円台まで落ち込む日もあるなど低調。新型コロナの感染拡大やこのところの値動きの荒さに対する警戒感から積極的な売買は手控えられており、当面は新規の資金流入が期待しにくいだろう。

新型コロナ禍でJMDCなど医療系ベンチャーの活躍が期待され、メドレーは直近で高値更新という強い値動き。これらは引き続き注目されそうだが、週替わりの物色動向を見ると、Sansanなどの下げ突っ込みからの反動も想定しておきたい。なお、今週は3月30日にフィードフォース、4月3日に霞ヶ関キャピタル、エクスモーションなどが決算発表を予定している。

IPO関連では、3月30日にNexToneがマザーズへ、ニッソウが名証セントレックスへ、31日にMacbee Planetがマザーズへそれぞれ新規上場する。NexToneやMacbeeは成長期待が高い一方、公開規模がやや大きい点がネックとなりそう。また、先週はヤマイチエステート(4月28日、東証2部)とGMOフィナンシャルゲート(4月30日、マザーズ)の新規上場が発表される一方、2社の上場取り止めも発表されている。

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