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新興市場見通し:中小型株物色が続きマザーズしっかり、直近IPO銘柄急落も

先週の新興市場では、マザーズ指数が3週連続で上昇した。日経平均が節目の2万円を前に調整へ転じたのと同様、マザーズ指数も週初に75日移動平均線水準を回復すると、ここまでの急ピッチの戻りを受けて利益確定の売りに押された。ただ、その後も個人投資家の中小型株に対する物色意欲は強く、マザーズ指数は700pt台を維持して推移した。日経ジャスダック平均も日経平均と比べると底堅かった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-3.2%であったのに対して、マザーズ指数は+0.5%、日経ジャスダック平均は-0.5%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のフリーが週間で13.5%高、Sansanが同5.2%高と堅調。新型コロナウイルスワクチンの開発で注目されるアンジェスは同23.2%高となり、マザーズ時価総額8位に浮上した。売買代金上位ではアンジェスのほか、ティーケーピーが大幅高。前期業績が従来予想を上回って着地した。メドレーやミクリードも買い優勢。また、Delta-Fly Pharmaは開発中の抗がん剤が国内臨床第3相試験に移行する見通しと発表し、週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、メルカリは同1.9%安、ラクスは同6.0%安と軟調。また、これまで賑わっていた直近IPO銘柄の一角が大きく値を崩し、NexToneやサイバーセキュリティクラウドが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力ではワークマンが同8.6%安、ハーモニック・ドライブ・システムズが同5.0%安となったが、セリアが同9.0%高となるなど高安まちまち。売買代金上位では出前館やリプロセルが比較的堅調だった。また、アルバイトタイムスやアマガサが週間のジャスダック下落率上位に、アクセスグループ・HDや細谷火工が上昇率上位にそれぞれ顔を出した。

今来週の新興市場では、マザーズ指数は引き続きまずまずしっかりした値動きが期待できそうだ。先週から国内主要企業の決算発表がスタートしたが、新型コロナが国内外の経済に大きな影響を与えているため、手掛けづらさが意識されるだろう。個人投資家の関心は新型コロナの影響下でも成長が見込める新興株や、テーマ性のある中小型株に向かいやすいと考えられる。ただ、新型コロナを巡る先行き不透明感から、ゴールデンウィークの連休前には利益確定の売りも出そうだ。

今来週は、4月27日にアンジェス、28日にセプテーニ・HD、医学生物学研究所、30日にすららネット、Jストリーム、メルカリ、5月1日にジャパンインベストメントアドバイザー、7日にワークマン、8日にオンコリスバイオファーマ、ナカニシなどが決算発表を予定している。新興市場でも主力企業や注目企業の決算発表が出始める。メルカリは外出自粛に伴うEC(電子商取引)拡大の思惑から買われてきたが、決算発表を前に手仕舞いの動きも出てくるだろう。

IPO関連では、先週新たな新規上場企業は発表されていない。政府の緊急事態宣言が発令されているうえ、株式相場の先行きに対する懸念も拭えないため、IPO再開までにはなお時間を要するとみられる。前述のとおり、直近IPO銘柄の一角は買い疲れ感も出て値を崩しているため注意したい。

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