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TOKAI Research Memo(1):2021年3月期も3期連続の過去最高業績更新を目指す

■要約

TOKAIホールディングスは、静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を展開する総合生活インフラ企業。「Total Life Concierge(TLC:暮らしの総合サービス)構想※1」の実現に加えて、2019年3月期より新たな戦略として「ABCIR+S(アブサーズ)※2」を打ち出し、M&A戦略も推進しながら更なる飛躍を目指している。

※1 Total Life Concierge構想:同社グループが提供する様々なサービスにより、顧客の快適な生活を総合的、かつきめ細かにサポートし、顧客満足度の向上を目指すビジョンのこと。
※2 ABCIR+S(アブサーズ):同社グループの技術革新に向けた戦略のこと。AI(A)、Big Data(B)、Cloud(C)、IoT(I)、Robotics(R)、Smart Phone(S)の頭文字をつなげた造語。

1. 2020年3月期の業績概要
2020年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.3%増の195,952百万円、営業利益で同8.9%増の14,224百万円となり、2期連続で過去最高業績を更新した。グループの継続取引顧客件数がM&A効果もあって期首の2,902千件から3,003千件と順調に拡大し、月額課金収益の積み上げが進んだことことに加えて、ガス事業における仕入コスト低減効果や法人向け情報・通信サービス事業、建築・不動産事業の収益が好調に推移したことが増収増益要因となった。

2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.8%増の205,300百万円、営業利益で同5.5%増の15,000百万円と4期連続増収、3期連続の最高益更新を見込む。中期経営計画「Innovation Plan 2020“JUMP”」(IP20)の最終年度としての総仕上げに加えて、次期以降の成長につなげる土台づくりとして、継続取引顧客件数の拡大に注力していく方針だ。顧客件数では前期末比102千件増加の3,105千件を目指す。LPガス事業やCATV事業、アクア事業での顧客増が続くほか、ここ数年、減少傾向の続いてきたコンシューマー向け情報・通信サービス事業についても販路の拡大により若干の増加を見込んでいる。利益面では、顧客獲得コストの増加や設備投資拡大に伴う減価償却費の増加を、増収効果並びにガス事業における仕入コスト低減効果などで吸収する見込みとなっている。なお、新型コロナウイルス感染拡大が業績に与える影響は軽微と見られる。同社は生活インフラサービスが主力事業となっているためだが、今後の動向次第では法人向けサービスで一部影響が出る可能性はある。

3. 2021年3月期の重点施策
2021年3月期の重点施策として、M&Aの推進、「ABCIR+S」の実践、TLCの深化の3点を挙げている。M&Aについては引き続き総額で1,000億円以上の投資案件について検討を進め、成約につなげていく。「ABCIR+S」の実践では、自社開発したDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)「D-sapiens(ディーサ)」を活用したマーケティング活動を本格的に開始する。まずはアクア事業において顧客行動から解約予兆を早期に発見し解約防止につなげていく取り組みを進め、その他サービスにも展開し、営業の効率化とマーケティング強化を図っていく。TLCの深化としては、顧客のLTV(生涯価値)最大化に向け、複数取引率※を前期末の18.8%から20%以上の水準に引き上げていく。そのための方策として、顧客の生活に役立つ新サービスの提供も視野に入っている。具体的には、健康・予防医療分野でのサービス事業化に向けた取り組みに着手しており、今後の動向が注目される。

※複数取引率=(サービス総契約件数÷顧客数)-1。

4. 株主還元策
株主還元については、継続的かつ安定的な配当に努めていく方針に変わりはない。2021年3月期の1株当たり配当金は前期比横ばいの28.0円(配当性向43.3%)を予定しており、今後も配当性向40~50%を目安に収益動向や資金需要を勘案しながら配当を実施していく。株主優待ではアクア商品やQUOカード、1,000円相当の「TLC会員サービス」のポイントなど複数の候補品から1つを3月末、9月末の株主に贈呈している。株主優待も含めた単元当たり総投資利回りを現在の株価水準(2020年5月21日終値985円)で試算すると3.9~7.0%※となる。

※株主優待をQUOカード、またはアクア商品で選択した場合。

■Key Points
・収益基盤である継続取引顧客件数が300万件を突破し、2020年3月期は2期連続で過去最高業績を更新
・M&Aの推進、「ABCIR+S」の実践、TLCの深化を重点施策として取り組む
・主力事業で顧客件数拡大に向けた取り組みを強化、法人向け情報通信サービスは好調続く

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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