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ダイナムジャパンHD Research Memo(6):2021年3月期上期は厳しい状況も、黒字確保に向けた取り組みへ

■ダイナムジャパンホールディングスの新型コロナウイルス感染症の影響と対応策

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、2020年4月7日に政府から緊急事態宣言が発令され、その中でパチンコホールは休業自粛要請の対象業種となったことで、同社グループでも自主休業を開始し、4月末から5月初旬にかけてほぼ全店舗で自主休業を実施したもようだ。その後、5月中旬に感染拡大の恐れがない地域で、また、5月25日には東京都も含めて全都道府県で緊急事態宣言が解除されたことを受け、感染予防対策を徹底したうえでグループ店舗の営業再開を段階的に進め、6月以降はほぼすべての店舗で営業を再開したものと推測される。今後、感染拡大の第2波到来が無ければ、徐々に稼働率も回復し、2021年3月期下期には通常水準の稼働率まで戻る可能性があると弊社では予想している。

こうしたなかで業績面への影響について見ると、4月、5月は自主休業もあって営業収入は前年同月比で大きく落ち込んだもようだ。

5月中旬以降も営業を順次再開しているとは言え、感染予防対策(営業時間短縮、消毒の徹底等)を徹底した上での再開であり、稼働率についてはしばらく低水準で推移する可能性がある。また、7月以降に感染拡大の第2波が来ないことを前提とすれば、稼働率の上昇による営業収入の回復と各種経費の抑制に取り組むことで、収益も緩やかながら回復に向かうものと弊社では予想している。

同社では営業収入減の対応策として、機械費、人件費、変動費及び固定費をそれぞれ前期比で20%、10%、15%、および10%削減していく計画(合計で100億円以上の削減)となっているが、状況によってはさらに削減することも視野に入れている。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、当初、2021年1月末を期限としていた新規則機への入れ替え期限について、警察庁が旧規則機の有効期限に関して1年間の延長を認め、5月20日に規則改正がなされた。これを受けて、遊技機器業界団体でも段階的に旧規則機の撤去を進めていく自主ルールを策定し、発表している。同発表内容によると、高射幸性の一部のパチスロ機については従来通り、2020年12月末までの撤去とし、それ以外の機種については段階的に撤去し、新規則機に入れ替えていくことになった。2020年3月期末で新規則機への入替率が4割弱にとどまっていたことから、2021年3月期は機械費の増加が懸念されていたが、今回の決定によって負担が大きく軽減されることになる。

同社は新型コロナウイルス感染症への対応に関して、「生活や経済を守り、地域社会に貢献していくため、安全を確保したうえで、事業を継続していくことが最も重要である」との考えのもと、以下の3つの点に今後も取り組んでいく方針だ。

(1) 顧客・従業員・取引先の生命と安全を最優先にした危機対応
・各自治体(都道府県知事)要請に対応した営業自粛の実施
・自主的に設定した27項目の感染予防策の実施

(2) 感染拡大予防策と営業活動(経済)の両立
・営業再開後の徹底した感染予防策の実施
・感染拡大予防ガイドラインに沿った営業から通常営業活動への段階的な移行

(3) 事業環境の悪化を踏まえた事業損失の最小化
・従業員の雇用維持、企業存続のための助成強化・経済支援拡大への働きかけの実施
・生産性改革と間接部門の構造改革によるコスト圧縮
・キャッシュフローを重視した営業活動(費用・投資計画)の見直し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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