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「住宅ローン控除期間の繰上げ返済は損」はウソ?銀行が隠す真実=川畑明美

憧れのマイホームを手に入れたあと、よく聞くのが「住宅ローン控除期間は繰り上げ返済しないほうが良い」という金融機関のアドバイスです。これ、本当なのでしょうか?(『教育貧困にならないために』川畑明美)

プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

住宅ローン控除期間の繰り上げ返済、本当に不利?

家計相談で「住宅ローンの繰り上げ返済は早ければ早いほど良いですよ!」とお伝えすることがあります。

すると、「え? 住宅ローン控除の期間は、繰り上げ返済をしないほうが良いと銀行に言われましたが…?」と言われることがあります。

住宅ローンは「複利」で借金が増えていきます。借り入れ期間が長ければ長いほど、返済額も多くなるということです。

複利の効果は、5年目くらいから徐々に増えていきますので、住宅ローン控除の期間に繰り上げ返済するほうが、総返済額は少なくなります。

計算してみれば一目瞭然

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%が還付されます。ざっくりと計算してみましょう。

4,000万円のローンで金利は0.5%、毎月10万3,834円返済の場合。

1年目の残高は、3,895万1,586円です。還付は、38万9,515円になります。

100万円の繰り上げ返済をした場合、残高は3,795万1,586円で、還付金は37万9,515円ですから1万円しか変わりません。

還付金は1万円しか変わりませんが、最終的な総返済額は17万6,516円も減らせます。

Next: 誰だって損はしたくない。金融機関の口車に乗らないように



金融機関の口車に乗らないように

お金を貸すほうとしては、早めに繰り上げ返済をされると元本部分が減ってしまいます。なので、「住宅ローン控除の期間は繰り上げ返済しないほうが良い」と言っているということです。

また、都心にお住まいで、6,000万円や7,000万円の高額なローンを組んでいるのでしたら繰り上げ返済しても、住宅ローン控除の還付金に影響はありません。

住宅ローン控除の対象には上限があります。一般物件で4,000万円、長期優良住宅などで5,000万円と定められています。

つまり、この上限額を割り込むほどの繰り上げ返済でなければ、住宅ローン控除額に影響はないのです。

くれぐれも、金融機関の口車に乗らないように。

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image by:Monster Ztudio / Shutterstock.com

教育貧困にならないために』(2020年9月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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