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ハイパーインフレから生活を守る「3つの資産」と一石二鳥の「隠し玉」=栫井駿介

最初に断っておきますが、私は決して不安を煽ろうとしているわけではありません。しかし、日本経済はハイパーインフレ、あるいはそれに匹敵する急激なインフレになるリスクを抱えています。この記事では、そのリスクにどう対処したら良いかについて考えます。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

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急激なインフレになっても生活に困らない資産防衛の考え方

インフレは政府にとって都合がいい

ご存知の通り、日本政府の財政状況は良くありません。政府債務は1,000兆円を超え、GDP対比で2倍を上回ります。世界を見渡しても、これほどの借金を抱えている国はありません。

財政が良くない国には何が起きるのでしょうか。細かな経済的メカニズムについての議論は避けますが、歴史的に見れば財政的に困窮した多くの国がハイパーインフレを引き起こしています。逆に急激なデフレになった事例はありません。

インフレは、政府にとって都合がいいのです。

インフレとは物価が上昇することですが、裏を返せば貨幣の価値が低下することを意味します。インフレ率が10倍の場合、インフレ前の1,000円がインフレ後は100円分の価値しかなくなってしまいます。つまり、1,000兆円の借金は100兆円分の価値になるということです。こうすれば、デフォルトすることなく借金を減らすことができます。

しかし、インフレで政府債務が減ってみんなハッピーかというと、もちろんそんなことはありません。つけを払うのは国民です。

年金、貯金に大打撃

インフレになると、まず商品の値段が上がります。直感的にはそれは困ったということになりそうですが、売る側から見れば販売価格も上がり、結果チャラになります。働いている人の給与も上がるので、現役世代には致命的な影響はありません

最も困るのが、既に退職した年金生活者です。年金の金額は「マクロ経済スライド」でインフレ率の伸びを下回ることが決まっている上、政策次第で変えられるものです。つまり、物価は上がるのに、もらえる金額はそれほど増えないという事態になるのです。

貯金をあてにしている人も損をすることになります。上述したように、1,000円が100円の価値しかなくなってしまいますから、1億円の貯金があったとしても1,000万円に目減りしてしまいます。せっかくの貯金が水の泡になってしまうのです。

Next: ハイパーインフレに負けない資産防衛のポイントとは?



株式、不動産、外貨を持つ

ハイパーインフレに負けないためにはどうしたら良いでしょうか。

まず、働ける人は自分のスキルを磨くことです。仕事にありつくことができれば、物価に見合った給与を得ることができます。

資産運用という観点では、インフレに強い資産を持つことが重要です。インフレに強い資産とは、株式不動産外貨などです。株式や不動産は基本的に物価に合わせて上昇しますし、インフレは日本円の話なので、外貨を持っていれば巻き込まれずに済みます。

株式を選ぶ場合は、その特性に注意を払う必要があります。インフレの混乱で潰れてしまうような会社だったら元も子もないからです。代表的なものに以下があります。

●グローバルに事業を展開している多国籍企業

世界中で事業を展開していれば、日本国内のインフレの影響は小さくて済みます。むしろ、インフレは円安を引き起こすので、日本円換算ではかえって得をする可能性もあります。

●生活に必要不可欠なものを売っている内需企業

生活に欠かすことができない商品は、物価上昇をすぐに価格に転嫁することができます。消費者は購入せざるを得ないからです。この場合、市場の独占性が重要な要素となります。

また、隠し玉として「固定金利で借金をする」という方法があります。国と同じように、1,000万円の借金を100万円の価値に棒引きできるからです。インフレ時には金利も上昇するので、固定金利でなくてはいけません。

長期の固定金利を個人で行う代表的な方法に、フラット35があります。この場合、不動産も購入することになるので一石二鳥というわけです。

Next: いつ起きてもいいように備えておくことが重要!



あなたの資産はあなた自身で守る

ハイパーインフレがいつ起こるのか。それは誰にも分かりませんし、起らないという主張も多くあります。

しかし、これは地震と同じようなもので、起らない理由を考えるのではなく、いつ起きてもいいように備えておくことが重要なのです。

ここで挙げた防衛手法は、ハイパーインフレが起きなかったとしても、「平時」の資産運用として十分に有効なものです。地震の時に自分の身は自分で守るしかないように、あなたの資産もあなた自身でしか守れません。そのことをよく肝に銘じておくことです。

つばめ投資顧問では、個人投資家の長期的な資産形成をサポートしています。記事についての疑問や資産運用のご相談があったら、お問い合わせよりお尋ねください。メールでの相談は無料です。

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年4月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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