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「年収1,000万円ビンボー」急増中!高所得者がハマりやすい3つの罠=栫井駿介

「お金持ちかどうか」を示す基準のひとつに年収があります。年収1,000万円もあれば、給与所得者の上位4%程度となり、高所得者と言えるでしょう。しかし、年収だけを見てお金持ちと言えるかというと、決してそうではありません。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

年収1,000万は年収500万よりも「350万円分だけ」お金持ち?

「年収1,000万円貧乏」は本当に起こる

サラリーマンで年収1,000万円と言えば、比較感だけで言えばかなりの勝ち組です。実生活でもお金に困ることはなく、年に数回家族で海外旅行に行くのも苦にならないでしょう。それだけもらっているのだからと、ブランド物の時計や外車を購入することもあると思います。

しかし、そんなエリートが定年退職や会社の倒産・リストラにより不意に破綻してしまうことも珍しくありません。

なぜそんなことが起きてしまうのでしょうか。それは、年収1,000万円クラスには3つの落とし穴があるからです。

  1. 税金
  2. ブランド志向
  3. 住宅ローン

1.税金

サラリーマンは、年収2,000万円を超えなければ確定申告をすることはまれだと思います。ゆえに、自分がいくら税金を払っているか無頓着な人も多いです。

日本は所得に対して累進課税を採っています。所得が増えれば増えるほど、税率が上がっていく仕組みです。所得税だけでなく、住民税・社会保険料も上昇します。

年収1,000万円だと、税金・社会保険料控除後に残るのは約750万円です(配偶者と15歳以下の子ども2人のケース)。一方、年収500万円だと400万円になります。年収で500万円の差があっても、使えるお金は350万円しか違いません

自営業者であれば、さまざまなものを「経費」とすることで、課税所得を抑えることができます。しかし、サラリーマンが節税対策でできることは限られています。「高所得者」から税金を取ることには世論の批判も起きにくいので、政府は取れるところからしっかり取ろうと考えているのです。

上記のような理由から、本当のお金持ちは「所得」ではなく「資産」に焦点を当てます。日本の税制では、資産に対する課税は所得への課税よりも有利になっているのです。

2.ブランド志向

高所得者は周囲の人も高所得者であることが大半です。したがって、つい見栄を張ろうとしてブランド物の時計や外車を買い、都心の高級住宅地にも住みたくなるものです。

時計や外車など、1度きりの出費ならかわいいものです。本当に問題となるのは固定費です。特に住んでいる場所は問題となります。賃貸であれば、家賃だけで都心と郊外で下手をすれば倍ほど違ってきます。月10万円と20万円の差であれば、年間120万円の違いです。

また、教育費も大きく、幼稚園から大学までオール私立とオール公立では1,500万円程の違いが出ると言われます(2,500万円対1,000万円)。子どもが2人いれば、1年あたり160万円の差です。

家賃と教育費だけで、合計280万円も違ってくることがわかります。これに少しずつ贅沢すれば、あっという間に上記に示した350万円に到達してしまいます。これで1,000万円というのが大して高所得でもないことがわかるでしょう。

3.住宅ローン

今、銀行は住宅ローンの過当競争状態になっていて、それなりの収入があれば、かなりの金額を借りることができます。年収1,000万円でも1億円借りることは難しくありません

住宅ローンの支払は、資産を買っているので「消費」ではないと考えてしまう人もいます。しかし、住宅を「資産」にするか「消費」にするかはその内容によって大きく変わります。

最も重視すべきなのは立地です。立地の良いところであれば資産価値は下がりにくいですが、中途半端なところは一番やっかいです。特に、大規模開発されたタワーマンションは、今は人気があるかもしれませんが、年齢層の偏在と供給過剰により、子どもが独立して定年退職する頃には資産価値が大幅に下がっている可能性があります。現在の多摩ニュータウン状態です。ちょうどその頃に修繕費が必要になったりしても、売るに売れず出費だけがかさんでしまうかもしれないのです。

資産価値を考えるなら、中途半端な物件ではなく、いっそ都心ど真ん中の億ションを買うことをおすすめします。そういう物件は、中古価格がむしろ上昇する傾向が高いのです。ローンの支払は苦しくても、いざ引っ越す時には高値で売れ、その後の生活に余裕を持つことができます。

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