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日経平均は小幅反発、ファストリ奮闘もやはり薄商いで小動き

 日経平均は小幅反発。16.14円高の23523.37円(出来高概算4億株)で前場の取引を終えている。

 15日の米株式市場でNYダウは小幅に3日続落し、19ドル安となった。週間の新規失業保険申請件数が予想外に増加したほか、欧州で新型コロナウイルス感染者数の急増を受けて規制再強化の動きが相次いでおり、大きく下落して寄り付いた。ただ、トランプ大統領が追加経済対策の提示額を引き上げる意向を示したうえ、大統領選前の合意の可能性にも言及したため下げ幅を縮小した。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで28円安と小安くスタート。その後は値がさのファーストリテが決算を受けて買われたことから、日経平均はプラス圏に浮上した。しかし、週末を前に売買はここ数日と比べても一段と低調で、上値の重い展開だった。

 個別では、前述のファーストリテが4%を超える上昇となり、1銘柄で日経平均を約112円押し上げた。今期業績は急反発し、最高益を更新する見通しとなっている。前日の事業説明会の内容が好感された富士フイルムは3%近い上昇。売買代金トップのソフトバンクGもしっかり。決算発表銘柄ではベイカレントが商いを伴って急伸し、パソナはストップ高水準での買い気配が続いている。一方、ソニーが2%の下落となっているほか、任天堂やトヨタ自がさえない。ドトル日レスは業績下方修正を発表して急落。GMO−GSなど直近賑わっていた中小型株の一角も利益確定売りがかさんだ。また、理ビタミンなどが東証1部下落率上位に顔を出した。

 セクターでは、海運業、証券、鉄鋼などが上昇率上位。半面、医薬品、不動産業、陸運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の43%、対して値下がり銘柄は50%となっている。

 新たに伝わってきた海外情勢は強弱入り混じる内容で、日経平均は薄商いのなか前日終値近辺でもみ合う展開となっている。ここまで日経平均の上下の値幅は73円ほど、東証1部売買代金は8000億円あまりにとどまっている。また、ファーストリテを除けば日経平均は100円弱の下落となる。東証株価指数(TOPIX)は0.28%の下落で前場を折り返しており、東証1部全体ではおよそ半数の銘柄が下落。週末要因もあって、中小型株を中心に利益確定売りが出ている印象だ。

 米国ではトランプ氏が追加経済対策の大統領選前の合意を狙ってか、金額を積み増して野党・民主党に譲歩する姿勢を示し、早期合意への期待が息を吹き返した。ただ、これまでに浮かび上がった隔たりの大きさ、それに非難の応酬で残したしこりを思えば、直ちに合意に至るとは期待しにくい。それに新型コロナの拡大を受けて欧州各国で規制再強化の動きが出てきていることも気掛かり。国内に関しては、9月の4連休後に感染者数の顕著な増加が見られなかった点をポジティブに捉えることもできる。それでも前日の東京都の新規感染者数は284人と8月20日以来の多さで、決して楽観できる状況とは言えない。

 今晩の米国では9月の小売売上高や鉱工業生産・設備稼働率、10月のミシガン大学消費者マインド指数の発表が予定されている。追加経済対策への期待とともに、足元の経済指標の改善傾向が今週初めまでの米国株の上昇を支えていたとの指摘が多い。それだけに、新型コロナ再拡大や経済対策の遅れが個人消費に響くか見極めたいところだろう。

 前引けのTOPIX下落率からは日銀による上場投資信託(ETF)買いのサポートも期待しにくく、後場の日経平均はやはり様子見ムードから小動きが続きそうだ。
(小林大純)

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