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新興市場見通し:高値後の調整は見直しへの布石?政策期待の物色はなお活発

今週の新興市場では、マザーズ指数が週末にかけて下落に転じた。週間ベースでは5週ぶりの下落となる。週半ばまでは菅政権によるデジタル化推進などを背景に新興ハイテク株物色が続き、マザーズ指数は10月14日の取引時間中に一時1368.19ptまで上昇。2018年1月高値(1367.86pt)を上回り、06年以来およそ14年ぶりの高値を付けた。ただ、その後高値警戒感に短期的な達成感も加わり、利益確定の売りが優勢となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.9%であったのに対して、マザーズ指数は-1.7%、日経ジャスダック平均は-0.9%だった。

個別では、BASEが週間で8.7%安となり、第3四半期決算を発表したマネーフォワードは同6.1%安となった。ストック収益の伸びが物足りないといった指摘が見られた。売買代金上位ではアンジェスが一部報道を受けて大きく下落。また、立会外分売の実施を発表したイオレなどが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、時価総額上位でもフリーは同15.4%高と大きく上昇し、業績上方修正を発表したラクスは同15.0%高。売買代金上位ではGMOフィナンシャルゲートなどGMOグループ各社の賑わいが続き、上昇率トップはグローバルウェイとなった。ジャスダック主力では出前館が同16.6%高。決算とともに発表した中期経営計画が材料視された。その他時価総額上位はワークマンが同1.8%高、日本マクドナルドHDが同1.6%安と高安まちまち。また、週間のジャスダック下落率上位にはアクサスHD、上昇率上位にはテーオーHDやシライ電子工業などが顔を出した。IPOでは、10月13日マザーズ上場の日通システムが公開価格を8割強上回る初値を付けた。16日ジャスダック上場のアースインフィニティは買い気配のまま初値持ち越しとなっている。

来週の新興市場では、マザーズ指数が短期的な調整局面に入るかもしれない。株価の上昇トレンドが崩れ、いったんは需給調整を要する銘柄が少なからずある。来週から主要企業の7-9月期決算発表が徐々に始まり、東証1部の大型株に市場の関心が向かいやすくなるとも考えられる。但し、個人投資家の新興ハイテク株への期待は根強く、ここで調整を挟んでおくことで、11月中旬にかけて発表される決算を受けての見直し余地が大きくなりそうだ。

マザーズ指数が軟化した週末にかけても、フリーなどは強い値動きを見せた。政府の電子化に伴い、民間企業でも会計ソフトの導入等が進むとの期待が背景にあるようだ。フリーや出前館は以前、当欄でも「新経済連盟」」加盟企業として取り上げたが、首相動静からGMO-FGなどのGMOグループ各社が賑わうなど、やはり政策の追い風期待が新興株物色の原動力となっていることがわかる。なお、来週は10月23日に沖縄セルラー電話などが決算発表を予定している。

IPO関連では、Eインフィニティの初値形成を見届けたのち、10月27日のカラダノート上場を待つことになる。ブックビルディングはさくらさくプラスが19日、Rettyが21日まで。また、今週はアララ(11月19日、マザーズ)の新規上場が発表されている。

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