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【対談】鈴木みそvsメンズバイヤーMB「だからメルマガ始めました」

読者増加数ランキング1位独占中の有料メルマガ『【最も早くオシャレになる方法】現役メンズバイヤーが伝える洋服の着こなし&コーディネート診断』発行者で、著書の出版やWeb『日刊SPA!』の連載などでも大活躍中の現役ファッションバイヤー・MBさん。そんな話題のMBさんが今回、対談のお相手に選んだのは、小学生の頃からファンだったという、ファミコン世代にはおなじみのマンガ家・鈴木みそ先生でした。みそ先生は、無料メルマガ『マンガ家の生活』をスタートしたばかりですが、すでにKindleで年間1000万円を稼いだ実績の持ち主。人気有料メルマガ発行者と、セルフパブリッシング第一人者との初顔合わせ、果たしてどんな話が飛び出すのでしょうか。前編と後編の2回に分けてお届けいたします。

悪いことはすべて、
鈴木みそさんから教わった

編集部(以下、編):今回はマンガ家ファッションバイヤーという、まったく異なる発行者さん同士の対談なんですが、それぞれの視点から面白いお話が聞けるんじゃないかと今からドキドキしています。ところで、MBさんの有料メルマガ、いますごく購読者数が伸びているんですよね。『SPA!』でも記事がアクセスランキングで1位になってますし。

MB(以下、M):はい、おかげさまで購読者数は毎日伸びてますね。『SPA!』の連載は、たびたび人気ランキング1位をとらせてもらってます。多い月だと1記事で150万PVくらいとか。

鈴木みそ(以下、鈴):メルマガも売れて、さらに連載もPV稼いでるんですか、すごいですねー!

:MBさんのメルマガは、基本的に「オシャレが苦手な男性」に向けたものですよね。

M:そうですね。感覚的に語られがちなオシャレを「論理的」に説明するという切り口でスタートしたところ、人気が出たみたいで。それまで有料メルマガを発行した経験があったわけではないので、これだけ購読者がググ~ッと増えているというのは、これが普通のことなのかどうなのか判断できなかったんですけど。やっぱり、なかなかないことなんですね。

:有料メルマガってすごく難しそうに見えるんですよ、傍から見てても。メルマガっていうメディア自体が、「一時代前の技術」じゃないですか。まぐまぐさんで言うのもなんだけど(笑)。そこに有料で乗せていくってのは、なかなか難しいな~と思うんです。僕もどこのタイミングで有料化するべきなのか、むしろ、するのかしないのかというのもまだ考えているところで。どんなカタチで人数を増やしていくのかってことと、何を発信して、どのくらいの人とどのくらいの深さで関わるのかとか、この辺をちょっと参考にしたいと思いますので、今日はよろしくお願いします(笑)。

M:いや~、こちらこそすごくうれしいです、よろしくお願いします! なんかもう、フフフフ。みそさんとご一緒できるなんて、もうほんとに夢みたいで。

:いやいやいや~。

M:子どもの頃、悪いことはすべて鈴木みそさんから教わったみたいな(笑)。

一同大爆笑

M:もう、話しだすときりがないんですけどね。小学校のころに読んでましたよ。こんなところでなんですけど、コウマンサウンドとか。コ●マンってなんだ?とか(笑)。

:(爆笑)そりゃヒドいっすね!

鈴木みそ先生

M:子どもだから意味が解らないんですもん。そこからだんだん、いろんなことを覚えていったっていう(笑)。そんな方を前にしてお話するのはすごく緊張します。

:いやいやいや、ファッションでお客さんを増やしてる人を相手に、今日は「ケロリン」のTシャツですみませんね…。

M:いえいえいえ、とんでもないです(笑)。人から「会うのが怖い」ってよく言われるんですよ。なんかファッションに文句言われるんじゃないかって思われてるみたいで。全然そんなのはないんですけど。

ファッションのことだけで
毎週5万字も書けちゃう

:ところで、例のメルマガは最初から有料だったんですか?

M:はい、最初から有料でした。

:あ、そうなんですか。いま始めてだいたいどのくらいの期間になってるんですか?

M:はじめてから、いまでちょうど1年半たったくらいです。

:1年半で、ぶっちゃけ購読者は何人くらい?

M:ぶっちゃけ、○○○○人超ですね。

:ええっ、○○○○人が有料で! そりゃすごい! えーっと、1ヶ月いくらなんですか、講読料は。

M:1ヶ月500円です。

:ご、500円! すごい~、そりゃすごい!!

M:(爆笑)

:すごいですね! 500円で○○○○人っていったら(宙を見上げて)…それだけで食えますね

M:食えますね。しかも、月間でも増加が純増で200名くらいづつ増えてるんですよ。

:純増で!! これ、ユーザー層のデータってとれてるんですか?

M:とれてないですね。

:あ、とれてないんですか。読者の平均年齢が何歳くらいだとかはわからないんですね。

M:ただ、読者からのQ&Aっていう…いま、有料メルマガの発行者さんて、みんなQ&Aってやってるじゃないですか。

:やってますね~、僕は無料メルマガだけど。読者もそんなに増えないんですけど(爆笑)。

M:でも、読者数の伸びは順調なんじゃないですか?

:そうですね、一応は…。はじめてから、そこそこは伸びてるのかなーって感じですね。あと、1回あたりどのくらいの文字量にするべきかというのがちょっと難しくて。もう毎回、書いていきながらの手さぐり状態なんですけど。このメルマガはHTMLですか?

M:いや、テキストです。文字量としては、毎週5万文字くらい書いてます。

メンズバイヤー・MBさん

:週に1回発行で、1回5万字も! へー。でも5万字って相当な量ですよね。

M:そうですね、1通じゃ送れないんで2通に分割して配信してます。

:あ、メルマガって量的な限界があるんですか?

M:1通で3万文字くらいが限界なので。僕のメルマガは、日曜日の18:10に送るんですけど、1通目が18:10で、2通目は18:20と連続で送信してるんです。でも、始めた当初は1000文字とか2000文字のときもあったんですけど、書きたいことがどんどん出てきてしまって。気が付いたら5万文字になったっていう(笑)。もともと文章書くのはすごく好きだから、それが高じてなんですけど。いま、こんな文字量で書いてる人って他にいるんですか?

:いや~、1人の著者ではいないですよ。何人か共同で執筆というのならありますけど……。あとは昔に書いたものを入れたりとか。

M:あー、そうですよね。

:読者のQ&Aは、まあわかるんですけど、ファッションについて書くだけだと、そこまでの文字量は書けなくないですか?

M:いや、それが書けるんですよ!

:書けちゃうんですか!

コンテンツを「抽象」と「具体」で
パキっと分ける

M:いま僕がやってる全体の事業に「KnowerMag」っていう名前をつけていて、基本的にブログメルマガがベースになってるんですが、各コンテンツの差別化ってしにくいじゃないですか。ブログでどこまで書けばいいのかとか、メルマガは有料だからどこまで書けばいいのかとか。たぶん、みなさんそこがすごく困るところだと思うんです。だから、いちばんはじめに、もう絵を書いて作っちゃったんですよ。ブログはもう抽象的なことしか書かない。で、メルマガ具体的なことしか書かないと。たとえばブログの中で「こういう着こなしがかっこいい」とか「これとこれはこういう風に合わせたほうがいい」みたいなことを、具体的なアイテム名ではなくて着こなしの方向を…たとえば「足が長く見えるようにするには、パンツと靴を同じ黒色にすると境界線がぼやけるから…」という感じですね。

:なるほど!

M:パッと見たときに、どこから靴でどこからパンツかわからなくなるので足が長く見えます、日本人は足が短いからそれやったほうがいいです、って感じでブログに書くんです。でも、実際に読者さんが知りたいことって、じゃあ、どのパンツどの靴を合わせればいいの?って話になると思うんです、最終的には。それは有料メルマガで…という感じで、コンテンツを「抽象」と「具体」でパキっと分ける。それが、たぶん読者さん的にもスムーズに受け入れられている感があります。

:なるほど~。メルマガになると個別になるわけですねー。あ、だからQ&Aなんだ!

M:そうです、本当にそういうことです。

:メールっていうものは個人に届くものだからだ! ブログは、もっと全体が見てるから…。

M:おっしゃる通りです!

:つまり広さが違うから、その分だけ深く一点掘りにするってことですね!  なるほど、なるほど~。

M:僕は、その構造をすごく意識して、ピラミッドのような三角形を自分の頭の中で描いてて。一番はじめに抽象的なことを書いて人を集めて、それがだんだん絞られてきて、具体的な内容になってくる。最終的には、たぶん個人になってくると思っています。だから、いまサロンをやろうと思っているんですよ。

:はっは~!

M:もう、僕と読者さんと一対一でお話ができるサロン。実際のコーディネートを僕から受けられるという。そのかわり、客単価は上にいけばいくほど高くならざるを得ないわけです。一対一で手間と時間を割くので。その構造にのっとってやればいいのかなって思って、考えはじめたのが2年前ぐらいです。

:はっは~! なるほど、なるほど。

M:って思ってたら、堀江貴文さんがすでに同じことをやられてて。やっぱり考えることって一緒なんだなぁって思いました。

人気メルマガは発行者本人に魅力がある

:これって、どんどん上に行くほど宗教感が出ますよね!

M:そうです、そうです! そうなります。

:自分自身が教祖様になるわけですよね?

M:本当にそうです! いちばんはじめにブログとかで読まれてる方って、僕以外のコンテンツもそうだと思うんですけど、ノウハウだったりとか、即物的な「すぐできる」とか「これは必要だ」とか、知りたい情報を書いてくれてるというところから興味をもってくれると思うんですけど、進めば進むほど、その個人に対して興味関心を持ってくれる。人気のコンテンツほど得てしてそうなるはずですが、これは宗教に構造が近いですよね。

:そうですよねー、だから人気を上げるには、その個人魅力的であることがものすごく大事ですよね?

M:そうなりますね。

:その人が面白くなければいけない。コンテンツの面白さもそうなんですけど、その人が面白く生きているかとか、どんな風に感じているかですよね。個人なのにポピュラリティがあって。最終的には、興味深い人間であるかどうかってことが大事なんですよね。

M:大事だと思います。だからこそ僕の持つもの、買うもの、身の回りにあるものは洗練されていなければならないし、食べるご飯や生活スペースもオススメできるくらい良いものでなくてはいけない。最終的に興味関心が際立った人は、そこまで追いかけてもらえると僕としては本望です。

:僕も前に似たようなことがあって。アイドルと作家とミュージシャンが、それぞれファンがいるとして、アイドルは毎朝「おはよう」って書くだけでものすごくみんな喜んでくれるのに、作家は別に喜ばれない。ミュージシャンはその中間にいて、これはコンテンツの強さと、そのキャラクターというものがそれぞれ棲み分けができているなーと思って。そういう図を書いてみて、じゃあ僕はどこに行くべきなんだろうかと。作家寄りなんだけど、もうちょっとこう…こっちよりに、とか(笑)。話せてテレビとかに出られるような、タレント化をしていくと、それはコンテンツが弱くても生き残れるのかなとか、いろんなことを同時に考えているんですけどね。

M:そうですよね、それってみそさんの漫画『でんしょのはなし』の中の話でしたっけ。

:そうです、そうです!

M:そうですよね、読ませていただきました。あの図はすごいなと思って。

:いやー、でも基本的には少ない人数にすごく高く買ってもらえたらいいわけですよね。本というのは、ずっと同じ値段でみんなに売るから、あまりよくないんですけど。そういう意味では、最終的に高いものを売る、少数の人無料の人と、それぞれ媒体を分けていくべきなんだろうという風に思いますよね。

M:そうですね、僕もそう思います。結局、大手というのは、どうしても画一的なことしかできないんだと思うんです。それが大きなメリットでもあり、逆に僕ら個人がキャッチアップできるデメリットでもあると思うんです、大手にとっては。だから、僕らはその少ない人数をどれだけ最適化して、それぞれの関心度別に正しいサービスと客単価を提示できるかってところが、すごく重要になってくると思っているんです。

:そうそう。でも、○○○○人は大きいですよね! 500円を○○○○人が買ってくれるっていうのは、本でいうととんでもない数ですから。

M:そうですよねー。月額課金で毎月売れてるっていう…。

:ですよね!これ、いつでも配信停止できるんですよね?

M:はい、いつでも停止できます。

:増減もしながら、ちょっとずつこう増えているわけですよね?

M:そうです、いままで「減」はしたことがないんですけど。

:すごい! うーーむ。最初に無料で始めるとは考えなかったんですね? 最初からこの考えだったと。

M:そうです。もう最初からその図を考えていたので。もう上にいけばいくほど情報と種別と客単価は上がっていくはずだから、無料はないな、と。

個人で情報を発信しないと
生きていけない時代

:ファッションの持つ強さっていうのは、顧客がお金を払ってくれるわけですよね、情報に対して。昔はファッション誌だったりしたところが、だんだん個別のところに移ってきて。そこにはたくさんのユーザーがいると考えていいわけですよね?

M:ただ、やっぱり不完全なんですよ、全部。雑誌もものすごく不完全だと思っていて。やっぱり広告主がいるじゃないですか。そうすると、当然そこに配慮して書かなきゃいけないし。

:たしかにそうですね。

M:ここの記事はこれを書かなきゃいけない、ここの記事はこれを書かないといけないとか、いろんな制約が出てきてしまう。このブランドからはこれをリリースしたからここは褒めなきゃいけないとか。基本的に悪口は書けないじゃないですか。そうすると、雑誌ってものすごく平坦な情報で、情報的に価値がないものと言ってもいいぐらいのものにしかならない。だから、いまアパレル業界でいちばん危険水域に入っているのって、販売員だと思っているんです。

:はー、なるほど。

M:で、アパレルにいる方、みなさん思ってらっしゃっていて、アパレルの販売員は、これからコンビニ店員並みになるんじゃないかっていう危機感を持っているんです。

:昔、ハウスマヌカンて呼ばれてたアレですか?

M:え? はい?

:ハウスマヌカンって昔そういう名前が…あ、いいです、いいです! もうその言葉自体が死んでなくなっている…。

一同爆笑

:いや、そうですかあ。その職業は厳しいと…。

M:昔はインターネットもなかったですし、販売員さんが良いって言ったものを信じるっていうのが普通の流れだと思うんですけど。いまは、その嘘とかが見えてしまいますから。そもそも販売員っていうものが、お店のことしか褒めないですし。

:確かにそうですよね。

M:正しい情報を言わないっていうのが、みんなわかってしまっているので存在価値がなくなってるんです…。

:そっかあ、なるほど~。

M:だから通販の需要が百貨店の売上を超える状況になってしまっているわけで。当然、消費者は経済合理性のいいほうに動くじゃないですか。そうすると、実際に店舗に行って試着ができて、販売員さんの提案が聞けるっていうメリットよりも家で気軽に自分で買えるっていうメリットのほうを強く感じている。ということは、販売員さんのいる理由がないっていう結論が出てしまっているわけですよ。

:なるほどね~。

M:僕は、もともと販売員なんですよ。だから販売員という職業が好きですし、どうやって自分は生きていけたらいいかって、ずっと考えた中で、やっぱり個人で情報を発信しないと生きていけないな、と思ったんですね。お店に囲われてイチ販売員として生きていくとなると、絶対そこに限界も出てくるし、斜陽になってくるはずなので。だったら、プロ販売員として個人で情報発信して本当にいいことをフリーの立場で言っていくっていうのが正しい生き方なんじゃないのかなっていう風に思って、それをやっているところなんです。

:なるほど、なるほど。そこが今の情報の価値ですよね。

近日公開の後半へ続く

すっかりMBさんの聞き役のようになってしまった鈴木みそ先生。しかし、「有料メルマガのアイデア思いついた!」「バックナンバーを売ればいいんだ!」「その有料メルマガは、えげつない!」などなど、後半はみそさんの口からアイデアが次々と飛び出す展開に。爆笑と「へぇ!」「なるほど」が交互に押し寄せる怒涛の後半戦近日公開、どうぞお楽しみに!

 

鈴木みそさんメルマガ『マンガ家の生活
マンガ家鈴木みその日常を赤裸々に描いた日記。を中心に、面白いマンガ、本、映画、食べ物などの話題からマンガの描き方まで。マンガを描くことに興味ある人からどっぷりファンまで。ちょっと覗いていきませんこと?
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