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「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」レビュー、映画野郎の評価は?

今年最後にしてNo.1の大本命、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」が12月18日に公開されました。もう見たよ!という方も一杯いるこの作品ですが、『映画野郎【無料メルマガ版】』のじょ~い小川さんが早くもレビューを寄せてくれました。さて、映画野郎はこの大本命にどのような寸評を出すのでしょうか、見てない人も見た人も必読ですよ。

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」レビュー

2015年もいよいよ後わずかという所で今年の大本命がやって来た!J・J・エイブラムスを新たに監督として迎え、新キャストを主人公にしたり、ハリソン・フォードやキャリー・フィッシャーといった旧3部作のキャストとの絡みはどうか等、観る前は期待と不安が入り交じったが、今回は新旧キャストの良さが上手く噛み合い、エイブラムスらしい生々しいハードな作りと、「スター・ウォーズ」シリーズのクリエイターの大先輩に当たるジョージ・ルーカスに対する壮大なオマージュを随所で感じ取れる!

ストーリーの核は旧3部作の主人公ルーク・スカイウォーカーの行方と新たなるドロイドのBB-8を巡る帝国軍ファースト・オーダーとレジスタンス軍攻防である。この骨格の流れは、どことなく「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」を感じさせる。それは、最高のタイミングで出てくるハリソン・フォードがインディアナ・ジョーンズともダブって見えるので余計にそう思う。

これを肉付けするのが旧3部作に対する懐かしさである。帝国軍戦闘機タイ・ファイターやレジスタンス軍戦闘機Xウイング・ファイター、ミレニアム・ファルコンといった機械から、ハン・ソロ、チューバッカ、レイア・オーガスなどの懐かしのキャラが出る度に胸が熱くなる。やっぱりこうしたキャラや機械が出てこその「スター・ウォーズ」であると改めて痛感させてくれる。

ハリソン・フォードもキャリー・フィッシャーもかなりの歳になるので出番が少ないのかと思いきや、意外にもにキッチリと活躍し、その度に旧3部作のファンのハートを鷲掴みにする。ハン・ソロとレイア・オーガスのシーンは旧3部作を見てる者なら込み上げてくるものがあろう

旧3部作に対する懐かしさは単にキャラを顔だしさせるだけでなく、戦闘シーンや大事なシーンで旧3部作のデジャブかと思えるシーンも結構ある。誰とは言わないが、父と子の関係やこれに関わるシーンにかつての名シーンを重ねる方も少なくないはず。つまり、骨格では「インディ・ジョーンズ」を、肉付けで「スター・ウォーズ」旧3部作に対する二重オマージュを展開している。この辺りは、J・J・エイブラムスによるジョージ・ルーカスへのリスペクトが感じられる(「インディ・ジョーンズ」はスピルバーグの監督作だけどルーカスが製作総指揮だから)。

ただ懐かしさを出すだけなら監督はジョージ・ルーカスでも良かったかもしれないが、J・J・エイブラムスが手掛けることにより、新3部作と比べて生々しい銃撃戦、ライトセーバーでのバトル、ドッグファイトがより多目に展開されている。それも、爆発や破壊が生々しく、絵画のように「引き」の絵作りが多かったルーカスの作りと比べて(3Dを意識したこともあるが)エイブラムスの作りは「煽り」が多い。この辺りはエイブラムスならではのテイストとも言え、「スター・ウォーズ」がより新しい物に生まれ変わった

そして、新旧のキャストの魅力。まずはなんと言っても新たなる主人公を演じたデイジー・リドリーに尽きる。これまで新旧3部作共に主人公は男であり、無名の彼女に対し見る前は不安があったが、今までの「スター・ウォーズ」シリーズの女性キャラにはなかった力強さがある。

この辺りは「キル・ビル」のユマ・サーマンや「バイオハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチなど強いヒロインに通じるものがある。身体能力の高さもあるが、決して大きくなく、マッチョでもない彼女に強さを感じる大きな要素は彼女の目力にある。

その点では上記の2人やクロエ・グレース・モレッツよりも説得力があり、「ボーイズ・ドント・クライ」や「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンクにも通じるものがある。ある意味、旧3部作のマーク・ミハルよりも頼りになりそうで、今後の続編でも大いに期待が持てる

今回の「スター・ウォーズ」の新キャストで凄いのはデイジー・リードだけではない。レイやハン・ソロと行動を共にするフィンを演じたジョン・ボイエガの活躍も大きい。それも、これまでの「スター・ウォーズ」シリーズにはなかった形でストーリーの中核へ入っていき、重要な役割を果たしている。

他、帝国軍のダース・ベイダー的なキャラもちゃんとキャラ立ちし、各バトルシーンに説得力が感じられる。丸っこいドロイドBB-8はR2-D2程の感情がもう1つ感じられないが、緩い感覚存在感はアニメ映画「ウォーリー」に出てきたイヴや「リアル・スティール」のアトムみたいで、癒し系の雰囲気はR2-D2以上。このイヴとアトムの系譜にディズニーらしさを思わせる。

これら新キャストを牽引するのがハリソン・フォードキャリー・フィッシャーといった旧3部作のベテラン勢。円熟の立ち振舞い、存在感で旧3部作のファンに安心感を与える。C-3POR2-D2も健在。

新ヒロインを中心とした新たなる「スター・ウォーズ」は、まさしく「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」以来の前進したスター・ウォーズ」である! 新旧のキャストがまさしく相乗効果で絡み合い、懐かしくも新しさもしっかりあり、さらに次回作へとしっかり繋がっている。「スター・トレック」を甦らせたJ・J・エイブラムスが「スター・ウォーズ」をも甦らせ、さらにまた偉大になった!! 「スター・ウォーズ」ファンは勿論、久しぶりに映画を観る方もフォースと共に劇場へ!!

評価:★★★★★

【評価の星取りの見方→★★★★★:傑作!! ★★★★:秀作 ★★★:佳作。観て損はない。 ★★:凡作。 ★:駄作】

(レビュアー:じょ~い小川)

 

【作品データ】
世界中を熱狂させた「スター・ウォーズ」シリーズが10年ぶりに新たに帰って来た!! 廃品を売る少女レイがドロイドのBB-8と出会うことで、帝国軍ファースト・オーダーとレジスタンスの戦いの中枢へと入っていく。新たな主人公レイ役にデイジー・リドリーが抜擢。ハリソン・フォードやキャリー・フィッシャーといった旧3部作の名優も健在。監督は「スター・トレック」、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」のJ・J・エイブラムス。

・12月18日(金)より、TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー
・上映時間:136分
・配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

【スタッフ】
監督・脚本・製作:J・J・エイブラムス/脚本:ローレンス・カスダン、マイケル・アーント

【キャスト】
デイジー・リドリー、ハリソン・フォード、ジョン・ボイエガ、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、オスカー・アイザック、ルピタ・ニョンゴ、マーク・ハミル

原題:STAR WARS:THE FORCE AWAKENS/製作国:アメリカ/製作年:2015年
公式HP

 image by: Mr. Sergey Olegovich / Shutterstock.com

 

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