中国は、「孤立化戦争」をどう戦うか?
では、中国は今年、どの国との関係を良好にしようとするのでしょうか?
1.アメリカ
「China2049」にも書いてありますが、アメリカ国内の「チャイナロビー」は強力です。いまや、「イスラエルロビー」を凌ぐといえるでしょう。当然、アメリカの反中姿勢を改めさせるよう動くことでしょう。
2.日本
中国にとって、GDP世界1のアメリカと、3位日本を分断することは、決定的に重要です。
2013年、中国は「安倍は右翼、軍国主義者、歴史修正主義者」とプロパガンダすることで、日米を分断することに成功しました。しかし、2015年3月のAIIB事件後、日米関係は非常に良好になった。
中国、今年は「日本に接近すること」で、「日米分断」をはかるでしょう。日本は、くれぐれも警戒し、
・アメリカを嫉妬させるほど中国に接近しないこと
・アメリカ抜きで中国とケンカになるほど、中国との仲を険悪にしないこと
が大事です。「習近平に会ったらニッコリ挨拶はするが、一緒にビジネスはしない」適切な距離感が大事ですね。
3.欧州
中国の希望は、「欧州の大国群が、アメリカの制止を無視してAIIBに入ったこと」です。欧州は、アメリカと中国を天秤にかけ、中国についている。
昨年12月、人民元がIMF・GDRの構成通貨になりました。この時も、欧州諸国が支持し、アメリカは反対できなくなってしまったのです。なぜ、イギリス、ドイツ、フランスなど、欧州諸国は中国支持なのでしょうか?
理由はいくつかあります。
・遠い
欧州と中国の距離は遠いので、中国は欧州にとって安全保障上の脅威ではないのです。「南シナ海」がどの国のものになろうが、知ったこっちゃない。
・儲かる
安全保障上の脅威はないので、欧州は、「中国とつきあうと儲かる」ことにだけフォーカスできます。
・そもそも欧州は反米
1991年のソ連崩壊で、「東の大脅威」(=ソ連)から解放された欧州。欧州エリートたちは、「もう一度覇権を目指そう」と遠大な野望を持ちました。その方法は、「欧州連合拡大」と「ユーロを基軸通貨化すること」です。
そして、フランスとドイツは02年~03年にかけて、ロシア・中国と共に、アメリカ主導の「イラク戦争」に反対しました。そう、フランス、ドイツは、「多極主義陣営」の産みの親なのです。だから、中国が強くなり、「多極化が進むこと」を歓迎している。
中国は今年、ますます熱心にイギリス、フランス、ドイツなどを取り込みにいくことでしょう。
4.ロシア
中国の強い味方は、プーチンロシアです。ロシアは中国にとって、
・石油ガス
・最新兵器
の供給元である。
日本では、「中ロは必ず分裂する」という意見が大半。しかし、両国の良好な関係は、05年から10年間つづいています。
去年、アメリカは「ロシアとの和解」に動きはじめました。今年は、さらに和解が進むと思います。中国とアメリカが、ロシアの愛を取り合う。経済制裁、ルーブル暴落、石油暴落のトリプルパンチで苦しむプーチンにとっては、有利な状況が生まれるでしょう(それで、経済が好転するわけではないが…)。
5.上海協力機構
中国とロシアが、「反米の砦」として育ててきたのが上海協力機構(SCO)。加盟国は、中ロ+中央アジア4か国。日本はあまく見がちですが、昨年7月大きなできごとがありました。インドとパキスタンの加盟手続きが開始されたのです。要するに、インドとパキスタンは、正式加盟国になる。
特に、いずれ経済規模で世界1、2になるであろうインドが入ることはとても重要です。日本は、「インドは親日」と油断していますが、そう単純ではないので、要注意です。
6.ブリックス
中国、ロシアに、インド、ブラジル、南アフリカからなるブリックス。これらの国々も、「反米一極主義」「多極主義推進」で心を1つにしています。中国は今年、ますますブリックスとのつながりを強めていくことでしょう。