世界はチャイナマネーにひれ伏すのか?米中覇権争いは歴史的分岐点に

 

中国の飛躍と暗転

08年、アメリカ発「100年に1度の大不況」が起こりました。全世界の国々が沈む中で、成長をつづけた国が2国だけありました。中国とインドです。

中国のGDP成長率は、08年9.64%。大不況がもっともひどかった09年、9.2%。10年10.6%、11年9.5%。まさに、「100年に1度の大不況ってなんですか?」という感じです。

2010年中国のGDPは日本を越え、世界2位に浮上します。中国は、経済力(GDP)、軍事費ともに世界2位になり、「覇権国家候補ナンバー1」になったのです。

この頃から、中国は本性をあらわしはじめます。2010年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こった。中国漁船がぶつかってきたのですが、中国は「レアアース禁輸」など、過酷な制裁を次々と日本に課し、世界を驚かせます。

2012年9月日本政府が尖閣を国有化すると、日中関係は最悪になってしまいます。

そして、2015年3月AIIB事件。中国主導の「AIIB」に、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国など「親米国家群」をはじめ、57か国を参加させることに成功した。

1970年代から長年相対的に良好だった米中関係。しかし、「AIIB事件」で、中国の影響力の大きさに仰天した米国は、あからさまに態度を硬化させました。

こうして2015年、「米中覇権争奪戦」が本格的にスタートしたのです。

アメリカはどう動く?」については、前号で触れました。では、中国はどう動くのでしょうか?

米中の戦いは、「孤立化戦争」

日本人は、まったく意識しないこと。それは、「戦争は実際の戦闘のずっと前にはじまっている」ということ。そして、それは「情報戦からはじまるのです。「情報戦」の目的は、「敵国を孤立化させること」です。

「孤立したら負け」
「孤立させたら勝ち」

これは、日本人が決して忘れてならない、先の大戦の教訓です。賢い中国人は、はるか昔からこのことを知っていました。たとえば、今から約2200年前に建てられた漢王朝。王朝を開いた劉邦は、ライバルの項羽に比べ、戦闘に弱かった。実際項羽と戦うと、「連戦連敗」だったのです。しかし、劉邦は、自分の弱さを自覚し、賢明に「味方増やし」に励みます。結果、劉邦を支持する有力者が増え、最後の戦いで勝利した。

中国のリーダーたちは、「戦闘の強さよりも重要なことがある。それは味方を増やすことだ」と知っている。それで、1930年代、日本より断然戦闘に弱かった中国は、せっせと味方増やしに励んだ。結果、1937年に日中戦争がはじまったとき、中国はアメリカ、イギリス、ソ連3大国から支援を受け、日本と戦ったのです。こんなもん、勝てるはずがありません。

何が言いたいかというと、「戦闘の前に、「孤立化戦争がある

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