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1日1時間ネットサーフィンする人とネット依存の人との差は「ない」

「飲み会のときにだけしかお酒を飲まないから依存症じゃない」なんて思ってる人、いませんか? メルマガ『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』の精神科医ゆうきゆう先生によると、実はその「機会飲酒」と呼ばれる状態であっても、依存症レベルの人と差はないというのです。いったいどういうことなのでしょう? 詳しく解説しています。

「依存症2~『プチ依存』なんて存在しない」

さて前回は、食虫植物について話しました。

そのうち一つ、何より重要なのが「サラセニア」。

真ん中に向かってへこみ、入り口が広いツボのような形の食虫植物。坂には中心に向かって毛がたくさん生えていて、一度進んだら戻ることはできません。くわえて蜜をなめた虫は、体が重くなり、どんどん酔ったような動きをします。

その結果、出ようにもなかなか出られず、最後には真ん中にある穴に落ち、消化液に溶かされてしまう…。そんな恐ろしい食虫植物でした。

実はこれ、依存症と構造が一緒なのです。

依存症は、食虫植物と変わらない。

依存症のセラピストであるアレン・カー氏は、「依存症は、食虫植物とまったく同じである」と述べています。

どんな依存症も、最初は快感です。

人間にとっての蜜はドーパミン

酒でもタバコでも、あらゆるものによって、人間は脳内でドーパミンが出ます。これは何よりも強い快感で、酒を飲んだり、タバコを吸ったりすると、気持ちがよくなるものです。

しかし…。実はそれは一過性です。

ドーパミンは出てすぐに消えてしまい、快感の直後、さびしい気持ちになります。

またドーパミンは、強制的に何度も出していることによって、どんどん「出づらく」なってきます。

たとえば酒なら、1杯で気持ちよくなっていた人が、2杯、3杯飲まないと、ドーパミンが出づらくなってしまうのです。

タバコも一緒です。吸い始めのときは、1本で満足していたものが、2本、3本と吸わないと、快感を得づらくなってしまいます。その結果、どんどん吸う量も増えていきます。

そうしますと、やはり最初はドーパミンが出ますが、同じく出づらくなっていき、さらにさらに増えていく…という悪循環になります。

増えていくほど、健康への影響もどんどん大きくなります。すると最終的に、体を壊して亡くなってしまうわけですね。

差は、あるのか。

機会飲酒」という言葉があります。
飲み会のときだけ、友達と食事のときだけ、お酒を飲むことをいいます。

これは一人で飲む人より、一見ずっとマシではあります。

一人で飲むと、さびしさなどからどんどん飲酒量も増えてしまいますが、人と一緒であれば、会話なども行うのでそこまで飲むことに集中することはありません。結果的に、そこまで飲酒量は多くはなくなります。

くわえて「誰かと飲む」ときにしか飲酒しないわけですので、タイミングもそこまで多くはありません。

そう考えると、「ちゃんと飲酒を楽しみ、コントロールできている人」のように思えます。

ある意味、コントロールできる人と、お酒を毎日のようにベロンベロンになるまで飲んでしまう、いわゆる「依存症」レベルの人には、差があるように思えるかもしれません。

しかし。アレン・カー氏は「そこには実は、まったくの差はない」と断言しています。

結局、食虫植物の坂の、「どの位置にいるか」の違いだけで、結局同じ食虫植物につかまっているのと同じというわけです。

機会飲酒であったり、誕生日やクリスマスなど、何かのタイミングで飲む人は、ただ単に「食虫植物の坂の、最初のほうにいる」というだけ。飲む回数が増えるほど、少しずつ少しずつ坂を進み、いつかは消化液の中に落ちる…イコール依存症になってしまいます。

結局のところ、そこに至るよりも先に、寿命が来て、死んでしまっているというだけ。そのため一見、コントロールできて、お酒を楽しんでいた、かのように思えているだけなのです。

飲み続ければ、結局は、現在依存している人と、ゴールは一緒なのです。

毒という意味で考えれば。

たとえばタバコもアルコールも「毒」であることは、言うまでもありません。

子供にタバコやアルコールを飲ませる人はいないはずです。大人が飲んでも大丈夫なのは、ある程度体力があり、多少のダメージにたいして負けないから。
それだけです。
量が過ぎれば、回復できないほどのダメージが蓄積され、体を壊すのは一緒です。

少し極端にたとえますが、体に蓄積されるダメージという意味では「ヒ素」などの毒物と一緒です。

ここで、毎日のようにヒ素を飲んでしまう人がいたとしましょう。これは間違いなく病気ですね。

では「週に1回だけ、みんなと一緒にヒ素を飲むけど、俺はコントロールできてるよ、病気じゃないよ」という人がいたらどうでしょうか。

これも間違いなく、病気だと思います。

もちろん「ヒ素」というたとえが行きすぎであるとするなら、もっとわかりやすく、麻薬でたとえてもいいかもしれません。

やはり「俺は週に1回麻薬やってるけど、病気じゃないよ」という人がいたら…?

同じく病気であり、依存していると判断されるでしょう。

普通は「ゼロ」のはずです。まったくやらない、いえやったこともないはずです。

0と1の差は非常に大きく、1と100には、そこまで差はないのです。

まさに「食虫植物の坂の、どの位置にいるか」というだけ。

一歩でも乗ったのなら、そこから消化液の中までは「地つながり」。依存している人と、依存していない人の差なんて実はなく、「1回でもやっている」「レギュラーに行っている」という時点で、同じなのです。

プチ依存なんて、ない。

よってあえて言いましょう。

「プチ依存」なんて存在しません。

週に1回飲酒するなら、それはアルコール依存と実は大差なく。月に1回喫煙するなら、ニコチン依存と大差はないのです。

そのまま量が多くなり、一般的な「依存症」になっても何の不思議もありません。

ネット依存なども同じですね。
1日に1時間ネットサーフィンをしている…という人が、いつ2時間3時間になり、そしてそのまま半日、いえ1日中になるかはわかりません。その可能性は十分にありえるのです。

それを恐れるのなら「完全にやめる」しかないのです。

そうすれば、少なくともその「食虫植物の坂」を、さらに一歩進むことはなくなります。

ずーーっと使用しなければ、そのまま食虫植物から飛び立ち、離れていくこともできるかもしれません。

このことを、どうか覚えておいてください。

今回のまとめ。 「依存症2~『プチ依存』なんて存在しない」

◯どんな依存も、コントロールできている人なんていない。

◯コントロールできている人と依存してしまう人に差はなく、実は食虫植物の坂の、どの位置にいるか、というだけ。

◯『プチ依存』なんて存在しない。ただ依存の坂を進みたくないなら、「やめる」しかない。

image by: Shutterstock

 

『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』第502回より一部抜粋

著者/大和まや・ゆうきゆう(精神科医・心理研究家)
あらゆるジャンルの心理学を極めた、セクシーな精神科医たち。あやつる心理学のスキルは1000を超える。「ゾクゾクしなければ人生じゃない!」がモットー。読めば心が軽くなり悩みも解消されるメルマガを月に2回のペースで配信中。
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