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「アイツ怪しいな」という理由だけで社員のバッグを検査できるのか?

企業が従業員に対して所持品検査を独断で行う…これって法律上、プライバシーの侵害などの問題はないのでしょうか? 例えば、社内で物品の持ち出しや金銭の不正取得などが起こってしまった場合、会社としてどこまで従業員のプライバシーに介入できるのか。無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』で、現役社労士が分かりやすく説明しています。

注意! 従業員のプライバシー保護について

誰であろうと、他人のプライバシーを侵害することは許されません。しかし、御社の従業員に対して、どうしてもプライバシー問題に触れる事態が発生する場合があります。

たとえば、所持品検査。会社の物品の不正な持ち出しや危険物の社内への持ち込み、金銭の不正取得等の発見や防止のために行う場合が考えられます。

従業員に対して所持品検査を行うためには、いくつかの条件が必要です。無闇矢鱈、御社の勝手気まま、自由に行えるわけではありません。疑わしい従業員がいたとしても、ただ「疑わしい」というだけで、所持品検査を行えるわけではありません。

条件1 就業規則に定めがあること

所持品検査を行うためには、就業規則に所持品検査についての定めがなければなりません。就業規則に定めがない所持品検査は許されません
※今すぐ、就業規則の確認を行ってください

条件2 所持品検査を必要とする合理的理由があること

「合理的理由」というのが、実にややこしい。実際、何が合理的で、何が合理的でないのか、とても難しい問題です。参考までに、裁判で合理的と判断された例を挙げてみます。
・合理的理由1:企業秘密の漏えい防止
・合理的理由2:製品材料の持ち出し禁止
・合理的理由3:交通機関における乗車運賃の不正領得の防止
・合理的理由4:企業秩序や職場規律保持のための、新聞・雑誌・署名簿等の持ち込み禁止を目的とした検査。

条件3 所持品検査の方法と程度が妥当であること

身体に直接触れたり、下着姿にさせるような検査はダメです。相手に羞恥心や屈辱感・侮辱感を与えるような方法は許されません。個人のロッカーや自家用車の車内の検査を行うためには、不正取得を疑わせる「特段の事情」が必要です。完全な個人の領域である場所を、単なる見込みだけで検査することは許されません。

条件4 所持品検査を画一的に実施すること

疑わしい者だけを「狙い撃ち」して行う検査はダメです。検査は、疑わしい者も含めた、職場従業員全員に対して行う必要があります。

以上4つの条件を満たせば、所持品検査も有効です。従業員のプライバシー侵害も許されるというわけです。

ただし、所持品検査など行わなくても良いような、不正な持ち出しや持ち込み、不正取得が起きない(できない)ような仕組みを作っておくのがベストです。

以上を踏まえて、あらためて考えてみてください。

注意! 従業員のプライバシー保護について

image by: Shutterstock

 

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