最近、薬剤師の免許を取得したという、東大大学院修了のタレント・木村美紀さん。自身のメルマガ『木村美紀が明かす家庭教育の秘策』では、自分の進路を決めるうえで大いに影響を受けた“親とのおでかけ先”について、語ってらしゃいます。
私が影響を受けた“おでかけ”ベスト3
おでかけの時間。
土日や長期休暇のときに、どこに行くか。これは、とても貴重。
私が思うに、おでかけの時間こそ、親からのメッセージがぎゅっと込められていた時間でした。
学校や塾みたく決まったことをやるのではなくて、おでかけの時間は、家族で好きなようにアレンジできるから。
今から振り返ってみると、自分の道を決める上で、おでかけの時間が果たす役割は意外と大きかったなと感じます。
昔に家族でおでかけした場所は、今でも自分の中で、心の核になるような大切な原点になっているからです。
私が影響を受けた、おでかけベスト3について、今回はお話させて頂きたいと思います。
第3位 親の同窓会
父親の大学時代の同窓会に連れていった記憶が今も残っていて、たった1回でもその場に自分がいたことが、自分にとっては大きな影響をもたらしています。
ふだん家での姿ばかり見ている父親が、大勢の人と挨拶して交流している様子が、とても新鮮にうつったのです。
「おとうさん、かっこいい!」
昼間に会社で働いている姿はなかなか見られないので、外でふるまっている姿が立派に頼もしくみえました。尊敬の念がわいてくる感じでした。
そして、大人への憧れ。学校を卒業した後も、ずっとずっと関係は続き、社会にでて離れ離れになっても戻る場所があるんだと、なんだかいいなぁ~と感じました。
大きくなったらそういう場所に自分も行きたいなって、子供心に漠然と憧れのような気持ちを抱いたのでしょう。
誰でも行ける場所じゃない。だから、行きたくなる。
自分の進みたい道を決めて、そのために努力をして、受験に合格して、その環境に身をおくことができて、卒業してからも、そこに居場所がある。なんて素敵なことなんだ!
受験をするという道を選んだ場合の、何十年か後のリアルな結果を目の当たりにすることができた。それは、受験を志す子供心にとっては、何よりも説得力のある時間であり、受験という道を選ぶことが魅力的にうつりました。
志望校の文化祭や説明会にいくことは簡単にできて、数年後のリアルな姿をイメージすることはできるけど、30年後のリアルな姿をイメージする機会は滅多にない。
10年後も分からないし、30年後なんてもっと分からない。将来は分からないからこそ冒険的で面白いのだけれど、目指す場所が明確化することで、モチベーションが上がることもあります。
父親の同窓会をみて、30年後のイメージが具現化されて、この大学に私も身をおきたいという意志が、願望から確信に変わったのです。
30年後の姿がイメージできたことは、この道をまっすぐ突き進んでいいんだという強い安心感になり、受験を志す上では、非常に大きな意義をもつ出来事でした。
そして、感慨深いことに、まさに今月それが現実となったのです。
大学時代に所属していた研究室のOB・OG会がありました。
大学の学部4年生~大学院の修士1・2年~博士1・2・3年まで。私は、薬学部のまったく同じ研究室に6年在籍していました。たくさんの思い出がつまった研究室。この研究室に出会わなければ、今の私は存在しえない大事な場所。
その研究室で教授をつとめていらっしゃった先生方が、1名は傘寿、1名は古希をお迎えになったお祝いで、先生方を囲む会が開催されたのです。
というわけで、本研究室の卒業生のみが何十人も集まりました。私は2年前に卒業したばかりで最も年齢が低い未熟者でしたが、幅広い年齢層の卒業生が交流する場ということで、先輩方のお話を伺えて、とても貴重な経験でした。
大学、企業、研究所、官庁など、第一線でご活躍の方々。教員・研究者として、学問をリードする偉大な方々。
薬学部出身ということで、薬学の研究を続ける方々も多い一方、文部科学省や証券会社などでお勤めの方も、研究室で培った専門知識をいかしながら、お仕事をなさっているようでした。
ここにきて、自分の10年後の姿がイメージできました。今の大学教員としての仕事を続けた先に、いったい何がみえるのか。いったい何を求めるのか。
年齢のかけ離れた大先輩方と交流する時間をもつことで、大先輩方の背中をみながら目標ができて、新しく道標ができていく。
社会に出てからも、たてのつながりは強固なので、関係が続くという意味で恵まれている環境に感謝です。世代をこえて集まる場に参加できるのは、本当にありがたいこと。
このOB・OG会は、さらに家族連れもOKで、ご夫婦で出席なさっている方々や、お子さんを同伴なさっている方々がいらっしゃいました。
小学生くらいのお子さんが、オレンジジュースを飲みながら、母親と一緒にちょこんと座っている。その姿をみて、胸が熱くなりました。
20年くらい前の自分をみているようで、懐かしく、「ああ、これだ……」と昔の記憶がクロスする。
小さい頃に憧れを抱いた同窓会に、自分が今いる。いつか私も家族ができたら、家族を連れてきたいなぁと、淡い願望が心に浮かんでは消えて。
同窓会は、いわば、1日でできるタイムスリップの疑似体験。子供に将来の姿をイメージさせるには、絶好の場所ではないでしょうか。
第2位 クラシックコンサート
家族でクラシックの演奏会にいったとき、音楽とともに様々な感情が子供心に響いたのを覚えています。
私は幼少期からピアノを長年やっていたこともあり、クラシック音楽は身近なところにありました。
家には、親がそろえたクラシック音楽アルバムがあって、家や車の中で日常的に流れていました。
モーツァルト、ベートーヴェン、バッハ、シューベルト、ショパン、ドビュッシー、ブラームスなど。もともと両親ともクラシック音楽が好きで、父親はよく聞いていたし、母親はよくピアノで弾いていました。
クラシック音楽は、家庭において、自然に日常生活に溶け込んでいたおかげで、いろんな曲が体になじむようになっていました。
そこで、幼少期の私が憧れていたこと。それは、「私もピアノで弾いてみたい」
小さい頃から家でピアノの練習をして、母親にいつも教えてもらっていました。さらに近所のピアノ教室に通って、ピアノの先生にも教えてもらいました。
ピアノの先生のことも大好きで、手作りの焼き物に色をぬって、プレゼントしたなぁ。
子供って、自分が大好きな大人たちに、がんばって認めてほしいんですよね。ほめてもらいたい一心で、ピアノも頑張りました。
でも、小さいころは、手が小さいので、思うようにピアノが弾けないのです。
今でも覚えているのが、モーツァルトのトルコ行進曲。途中で、右手の指を横にめいっぱい広げて、親指と小指で同時に1オクターブ違う音をラ・シ・ド# ~♪ と鳴らしていく箇所があるのですが、手が小さくて届きませんでした。
ショパンの子犬のワルツや幻想即興曲も、難しくてなかなか思うように弾けなくて、いつか弾けたらな~と憧れていました。
クラシック音楽は、身近にあるのに、自分がいざ音を鳴らしてみようと思うとできない。そんなもどかしさがありました。
そういう状態で、クラシックコンサートへおでかけすると、憧れが現実に変わるから、生の演奏がすっと体に浸透してきて、“音楽は生きているんだ”って体が生き生きと反応する。
子供の頃からずっと憧れだった有名人の歌手に、コンサート会場で、生で会えたような喜びの実感に似ているかも。
ずっとアルバムの音源のデジタルで聞いていた音が、生のアナログで聞けるときの感動。
よりいっそうピアノをもっと頑張りたいって気持ちが芽生えて、モチベーションがぐんぐん高まりました。
クラシック音楽は脳へも良い影響をもたらすし、演奏会へいくと、優雅にリラックスできて心を癒してくれます。現実を忘れさせてくれる、つかの間のほっとするひと時。
何年も世界中で愛され続ける不朽の名作。言葉がなくても、心にじんと染み渡る優しい奏。いいですねぇ~~。
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