安保法案「強行」採決、新聞各紙の報道スタンスを徹底比較

 

【見出しの比較】

まずは単純に四つの見出しを並べてみます。

《朝日》■安保採決 自公が強行■
《毎日》■安保法案 きょう衆院通過■
《読売》■安保法案 衆院通過へ■
《東京》■「違憲」批判を無視■

《朝日》は強行採決そのものを、《毎日》と《読売》は今日の本会議で衆院を通過することを、そして、《東京》はここでも強行採決の意味を問いかける見出しです。

強行採決や衆院通過ということも人々の怒りを掻き立てることでしょうが、逆に一種の「諦め」につながる場合もある。それは「採決」や「通過」がどこまで行っても手続きに過ぎないからです。議会内で圧倒的多数を握る与党提出法案であれば、委員会であれ本会議であれ、採決を強行しさえすれば可決成立してしまうのは当たり前のこと。何を言っても届かないということになれば、絶望や諦観が襲ってくる。「強行採決は腹立たしいけれど、でも仕方がないよね」というところに落ち着いてしまうのです。

《東京》の見出しに「違憲」の言葉が入っているのは、その意味で重要なことだと思います。行われていることは、なんと言ったって「憲法違反」。ただの強行採決ではない、憲法違反の法案の強行採決なのです。ここには「諦め」の要素はない。安倍総理は昨年の閣議決定によって、「合憲か違憲か」の問題については既に決着していると勘違いをしていました。与党全体がそうです。ところが、そのことを暴いてしまったのが、与党推薦で法案を違憲と断じた長谷部恭男氏だったのです。有権者もこれで目が覚めました。ですから、この日の見出しに「違憲」の二文字が入っていることは大事なことなのだと思います。

以上は、飽くまで見出しに関すること。読者が一面をパッと見たときに感じる印象に関わることとご理解ください。

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image by: 自由民主党

『uttiiの電子版ウォッチ』2015/7/16号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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