安保法案「強行」採決、新聞各紙の報道スタンスを徹底比較

 

【写真の比較】

既に触れましたように、各紙、強行採決のニュースに関連して比較的大きな写真を掲載しているのですが、《読売》とそれ以外の3紙との間に、大きな違いが見られます。

《読売》は衆議院第1委員会室内の写真。民主党議員らが委員長席に詰め寄りプラカードを掲げているときの写真ですが、自席のところで起立している与党議員の姿も入るような、引き絵になっています。

《読売》の意図は明らかです。

強行採決の事実は隠しようもないですが、この映像には、用意してあったプラカードを掲げ、テレビで与党の暴挙を映し出させようという民主党議員らの作戦が見えている(NHKは中継しなかったらしいですね)。自民党も問題だけど、民主党のやることも子どもっぽいねえ、所詮は「同じ穴の狢だね」というような、ありがちな批判を惹起しやすい映像です。昨日の強行採決の本質をそこに見ているのなら仕方がないですが、まさかそんなことはないでしょう。《読売》が与党に奉仕する政治的な新聞であることが、こういうところに見えてしまっています。

1つ、《読売》に計算外のことが起こっています。写真の真ん中あたり、与党の理事が座っているあたりで、1人後ろの議員たちに向いて右手を伸ばしている男性が映っています。大分3区選出の岩屋毅議員です。他の全員が委員長の方を向いているのに、岩屋議員だけが後ろを向いている理由は明白です。委員長が「…賛成の諸君の起立を求めます」と言っているのが聞こえにくい状況で、後ろの議員たちに起立するよう指示を出しているのです。強行採決の時には必ずこのような役回りの議員が存在します。かねて打ち合わせの通り、岩屋議員は「中継役」をやっていたのでしょう。

《朝日》、《毎日》、《東京》の3紙は、委員会室の映像ではなく、国会正門前などに集まった、法案に反対し強行採決に抗議する人々の姿を伝えています。特に強く表現されているのは、「人の多さ」「夜」の2つ。

強行採決が行われたのは昼過ぎでした。3紙の写真は、いずれも脚立を使い、少し上からワイドレンズで抗議の群衆を捉えた、迫力ある写真になっています。キャプションにはどれも撮影時刻が入っていて、《毎日》は「午後7時36分」、《東京》は「午後10時57分」、そして《朝日》は「午後11時16分」。憲法違反と指摘される法案の強行採決に怒り、深夜になっても抗議を続けた大勢の人々の姿を捉えた写真。1面にこのような写真を持ってきた3紙の意図もまたハッキリしています。ここから先、この安保法制問題の主役はこの人たちだということを示したのだと思います。

問題の主役は誰か。新聞が写真の選択や説明、1面記事の見出しなどを使って表現することの出来る、大変重要な情報だということをあらためて確認しておきたいと思います。

では次に見出しの比較に入ります。

>>次ページ 東京新聞の見出しが訴えるもの

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