判決無視を決め込む中国、世界は「やったもん勝ち」を認めるのか?

 

経済戦

情報戦の次に来るのが、「経済戦」です。皆さんご存知のように、アメリカは、「ABCD包囲網」を主導しました。これで日本に石油が入ってこなくなった。日本は当時、石油の約90%を輸入に頼り、しかもそのうち約80%をアメリカから買っていたのです。これがいわゆる「経済戦」の例です。

アメリカは、「クリミア併合」後、「対ロシア経済制裁」を主導しています。日本、アメリカ、欧州、オーストラリアなどがロシアを制裁している。

アメリカが、世界第2の経済大国中国を経済制裁する? 現時点では、あまり考えられません。中国は、日本と1、2を争う「米国債保有国」(債権国)でもある。

しかし、何か大きな事件があれば、経済制裁に踏み切る可能性もあります。こう書くと、「そんなわけはない! 経済的損失が大きすぎる!」と反論がきます。しかし、安全保障は経済より大事なのです。これは、「命(安全保障)と金(経済)どっちが大事ですか?」という質問です。普段命のことを考えないので、「金が一番大事」と思っている。しかし、命のことを意識した途端に、「金より命が大事」となります。銀行も、「命の次に大事な物(=金)をお預かりしています」などといいますね。実際、欧州は、莫大な経済的損失を出しながら、対ロシア制裁をつづけている。これは、「金がすべて」という価値観とまったく矛盾しています。

ちなみに、世界一の戦略家ルトワックさんは、「核大国中国と全面戦争することはできないので、『地経学的』手段をとるしかない」といっています。

われわれに唯一残された抵抗手段は「地経学的」なものである。これは戦略の「論理」を、経済の「文法」に適用したものだ。
(『自滅する中国』 p338)

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