シダックスの場合は、カラオケ事業の売上高は全体の2割程度ですし、企業の収益の柱である食堂受託運営事業は好調のようですので、企業としての体力は十分にあります。ですので、カラオケ事業の立て直しのために10億円規模の設備投資(店舗の改修など)を行うとのことで、挽回の余地はまだまだありそうですし、危機的状況というわけではなさそうです。
今回の重要なポイントは、顧客ニーズの変化が、企業経営に大きな影響を及ぼすということです。まさに、顧客ニーズをとらえきれなかったことが、シダックスの大量閉店の要因の一つといえます。
しかし、しっかりと収益をあげている店舗もあるようですので、レストランカラオケそのものが否定されているわけではありません。
今後の方向性として、
- いまの強みを伸ばしていく
- それとも、新たな強みを作っていく
- もしくは、その両方を目指していく
といったことが考えられます。
もし、強みを伸ばす方向性なら、料理を目的に来店してもらえるような名物料理を開発したり、カラオケなしプランをつくるのもいいかもしれません。その方向でいくなら、ファミリーレストランなどと直接競合することになりますね。
また、新たに強みを作るなら、ニーズが明らかになっている1人カラオケの部屋を充実させて料金を低価格にすることなどが考えられます。難しいとは思いますが、店内レイアウトを時間帯によって変えることができれば、時間帯によって変わる顧客ニーズに応えることができそうです。例えば、同じ店舗でも昼間は大部屋が中心、夜間は1人カラオケの部屋を中心に展開するといったことができればおもしろいですね。どのような経営判断をされるのか、注目したいところです。
ちなみに、シダックスはこの大量閉店において、レイオフは一切行っていないということですので、従業員を大切にしている企業ということが伺えますし、こういった企業姿勢には好感が持てます。
今後、業績のV時回復を実現することができるのか、期待したいです。
image by: TK Kurikawa / Shutterstock.com
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