ちなみに「メディアは軍事力以上の力がある」と孫文に教えたのは、孫文が師と仰ぐレーニンです。以来、中国の各党各系の武装勢力は、軍よりも「嘘をつく」ことをメディアの宣伝に託しました。
先のトランプ発言は、早速台湾でも大きく報じられました。もちろん国民党側にはこれを批判したり警戒する政治家も少なくありません。国民党は1992年に中国側と「一つの中国」を認めあったという「九二共識」を堅持してきましたから、これを否定されることは国民党にとっても具合が悪いからです。
また、このトランプの発言によって中国が台湾に強硬手段に出て、何らかの軍事的脅威が起こるかもしれないという懸念の声もあります。加えて、ビジネスマンのトランプ氏は、中国から有利な条件を引き出すために、「一つの中国」を駆け引きの道具として利用しており、中国の譲歩次第で一転して「一つの中国」を認めるのではないか、と不安視する声もあります。
● 川普叫賣一中/中美互嗆篇:孫揚明》川普把台海拖入多事之秋
しかし、そのような反対意見を載せている台湾メディアのほとんどが国民党系か中国資本系です。目下、台湾のメディアは「自由時報」「民視」「三立」のいわゆる「三民自」以外には、ほとんどのメジャー紙が中国資本、いわゆる「中資」です。もちろん「三民自」にも、経営状況などそれぞれのメディアとしての弱みがあります。
中国政府は台湾だけでなく、日米やEUにも大金をかけてメディア戦略を展開しています。そのなかでも私がもっとも憂慮しているのは、日本のメディアが徐々に中国のエージェント化していることです。日本の一部のメディアは、中国政府から資金援助を受け、さらに現場指導まで受けているとも噂されています。
そこは、「反日」が利権となる時代を迎えているという背景があり、中国と利害が一致しているのです。日本のメディアが中国政府によって買収されることも少なからず可能性があります。