中国、トランプ発言に猛反発。南シナ海に「怒り」の爆撃機

 

ところで、このトランプ氏の発言については、中国メディアの日本語版にはほとんど出てきません。中国でも報道官とメディアのやり取りで「一つの中国は米中での基本的原則である」といった決まり文句を繰り返すだけです。

やはり表向きはトランプ氏とは衝突したくないというのが中国の本音なのでしょう。まだ大統領に就任していませんし、就任当初から対決姿勢になりたくないという意図が透けて見えます。だから裏でさまざまな圧力をかけて嫌がらせをするというのは、中国らしいやり方です。

中国は先日、南シナ海に爆撃機を飛ばすという暴挙に出ました。これもトランプ氏の言動に反発したものと見られています。台湾も南シナ海も、中国が「核心的利益」としているものです。トランプ大統領によってこれら中国にとっての権益が侵されれば、もともと経済が落ちていくなかで、習近平政権の正当性が揺らぎかねなくなります

中国、南シナ海に爆撃機派遣=トランプ氏の台湾会談けん制か

トランプ政権による「アメリカ第一主義」になれば、グローバリズムは衰退し、通商国家としての中国は生存がますます厳しくなります。軍事力は米露よりも劣り、経済も苦境に陥ることは避けられません。習近平にとっては運が悪いと言わざるを得ませんが、毛沢東主義への回帰により生き残りを図るしかないわけです。もはや習近平は、自身の立場を守るために必死なのです。

蔡英文政権は少なくとも年内は国内問題の改革に忙殺され、外交までの余裕がないということを台湾政界からの話として耳にしています。台湾をめぐるアメリカの姿勢が大きく変化しはじめた背景には、政治や一部マスメディアのみならず、あらゆる分野の見えないところで台湾人が画策してきたことがあります。私もメディア人の一人として、表に出ないそうした努力をいっぱい見てきました。

戦後の日本は、なにかにつけ「中国が怒る」ということで、自国の主張をせずに、中国の顔色を伺うことばかりしてきました。それが中国を増長させた一因でもあります。かつて私は著書で、日本の謝罪外交は中国の圧力に苦しむアジア諸国にとって迷惑だと書きました。しかしその後、心ある日本人の努力によって、謝罪外交はだいぶ少なくなったようにも思います。

しかし安心はできません。苦境に陥る中国は、日本への攻撃をますます強めてくることでしょうし、国内マスコミと協調しながら反日プロパガンダも仕掛けてくるでしょう。日本人には、それを認識し徹底的に戦う覚悟が必要です。

 

黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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