中国、ロシア、北、イラン。戦時協力を高める“戦争の枢軸”が狙う「国際秩序の破壊」と新しい統治の形成

Hangzhou,,China,-,Sept.,4.,2016,-,Chinese,President,Xi
 

ウクライナ戦争や中東地域の混乱など、緊張と混迷が深まる国際社会。そんな中にあって、欧米主導の世界秩序を破壊し新たな統治の形を生み出そうとする「試み」が確実に存在するようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、ロシア・中国・イラン・北朝鮮をメインとする「戦争の枢軸」の動きを詳細に解説。我が国を含む自由主義陣営に、果たして打つ手はあるのでしょうか。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:戦争の枢軸は世界を恐怖に陥れることになるのか?‐中東、ユーラシア、アジア情勢の混迷

「戦争の枢軸」が敢えて作り出す混乱と恐怖。中ロが世界にもたらす負の連鎖

皆さん【XXの枢軸(Axis of XX)】と聞かれて何を想像されるでしょうか?

1930年後半に構築された日独伊の枢軸同盟でしょうか?

それとも9-11の同時多発テロ事件を受けて、当時のアメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュ氏が用いたAxis of Evil(イラン、北朝鮮、イラク)でしょうか?

または、イスラエルとハマスの戦いを機に、再度、注目されたイラン主導の抵抗の枢軸(Axis of Resistance)でしょうか?

そのどれであったとしても共通するのは、【非民主主義体制であり、米英と対抗する国々・組織】を枢軸と欧米諸国とその仲間たちが呼んでいることです。

ここで気をつけないといけないのは、【誰の目から見て邪悪で抵抗する存在なのか】という見解・アングルの見極めです。

欧米諸国とその仲間たちから枢軸と呼ばれている国々や組織の側から見ると、枢軸という名称を使うかどうかは別として、欧米諸国とその仲間たちこそが邪悪であるという見方をします。

今回、このコーナーでお話ししたいのは“どちらが正しいか・悪いか”ではなく、現在、いくつもの大きな戦争が世界で起きている最中、欧米主導の国際秩序に対して楔を打ち込もうとしている新しい枢軸と言われている【戦争の枢軸(Axis of Wars)】が引き起こしかねない混乱についてです。

この戦争の枢軸の構成国は、【ロシア、中国、イラン、北朝鮮の4か国】がメインと言われていますが、現在、中東危機に世界の目が向けられている事態に乗じて、ロシアと中国が核となり、他地域でも強気な行動に走り、それが欧米主導のこれまでの国際秩序の在り方を激しく揺さぶり、混乱と恐怖を通じて、新しい統治の形を作ろうとしているのではないかという懸念が生まれています。

これは私もご招待いただいたイスラエルのシグナル・グループが先週に開催したオンライン会議で多くの参加者から寄せられた懸念を整理したものですが、実際の状況を分析してみると、確かにこれら戦争の枢軸の国々の間での戦時協力が高まっている姿が浮かび上がってきます。

例えば、ウクライナに侵攻し、その後もウクライナの東南部を一方的に編入し、クリミアを死守しつつ、ウクライナ全土への影響力拡大を狙うロシアに対して、イランは大量のドローン兵器を提供していることが分かっていますし、北朝鮮も、金正恩氏のロシア訪問後、100万発を超える砲弾と“弾道ミサイル”をロシアに提供して、ロシアによるウクライナ侵攻に加担しています。

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