中国、ロシア、北、イラン。戦時協力を高める“戦争の枢軸”が狙う「国際秩序の破壊」と新しい統治の形成

 

世界中を火の海にする可能性が指摘される「戦争の枢軸」

中国については、現時点までは殺傷兵器をロシアに提供しているという事実はないようですが、武器弾薬の生産のための工作機械や電子部品をロシアに提供し、かつ無人機もロシアに提供しているという情報が寄せられています。

一応、表面的には習近平国家主席と政権はこれに加担しておらず、中国企業があくまでも“ビジネス”として行っている商業行為とのことですが、実際のところ、共産党政権の許可なくこのような大それたことをすることはできないだろうと考えられますので、中国もバランスを取りながらではありますが、独自の方法でロシアによるウクライナ侵攻を、時折、仲介役を申し出ているにも関わらず、後押ししている状況が覗えます。

ロシアは北朝鮮に対して核ミサイル・弾道ミサイルの開発支援を行っており、最近、ロシアの軍事技術者が派遣され、北朝鮮に常駐して指導しているという情報もあります。また今後、ロシアと北朝鮮の協力関係が深化していった場合、最新鋭戦闘機のSU35もロシアから北朝鮮に提供されるのではないかという分析も存在します。

そしてロシアはイランに対して戦略的パートナーシップ協定の下、北朝鮮に対するのと同じように軍事的な技術やノウハウを移転し、イランの軍事力の向上に多大な貢献をしているようですし、中国は同じく戦略的パートナーシップ協定の下、イランとの経済関係の強化と技術開発の協力を進めています。

この戦争の枢軸国が、今、混乱を極める国際社会において、同時並行的に行動を起こし、主導することで、戦争の連鎖が起きて、世界中を火の海にする可能性が指摘されています。

ロシアがウクライナとの戦争を進める中、中国は台湾への脅威をカモフラージュにして、南シナ海における支配権を強め、広めようとしています。そして北朝鮮はミサイル実験を異例の頻度で実施し、“核反撃訓練”と称して4月23日にも核弾頭搭載可能とされる短距離弾道ミサイル(超大型放射砲と呼んでいる)を東シナ海および日本海に向けて発射することで、アメリカと韓国、そして日本にプレッシャーをかけ、アジア地域に釘づけにし、アメリカの戦力とフォーカスを分散してアジアに引き付けています。

そしてイランは、ご存じの通り、イスラエルとの緊張を高めつつ、自らが主導する抵抗の枢軸をactivateして、従来通りの親イラン派抵抗組織による対イスラエル・同盟国攻撃に加え、エスカレーションを回避しつつ、1979年来初めてとなるイスラエルへの直接攻撃も行うことで、中東地域にアメリカを引き戻し、再度張り付けて戦力とフォーカスを分散させることに一役買っています。

このようにしてロシアのウクライナ侵攻と並行して、中東紛争、そしてアジア危機(北朝鮮のミサイル実験と発射に加え、中国による南シナ海での強硬な威嚇行為の連鎖)というように、違った地域で起きている緊張・危機に対して同時に油を注ぎ、緊張を一気に高めることで、これらの紛争・緊張が互いに反応・反響しあい、動きがそれぞれ加速して強度が増すという負の連鎖を引き起こすのではないかと懸念されます。

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