中国、トランプ発言に猛反発。南シナ海に「怒り」の爆撃機

 

そして、中国は台湾企業に圧力をかけ始めています。中国で食品事業などを展開する台湾企業の海覇王グループが、「(中台)両岸はともに一つの中国に属することを支持する」という声明を発表しました。

中国が台湾企業に圧力か、「一つの中国」支持の声明

記事によれば、海覇王には中国当局による税務調査も入っているとのことで、台湾で対中国政策を主管する大陸委員会は、圧力が事実なら「野蛮な行為だ」と中国側を批判しています。

この海覇王グループの経営者は蔡英文総統やその家族とも親密だとされてきましたが、中国に進出しているだけに、その関係から狙い撃ちされた可能性もあります。蔡英文政権は「九二共識」を認めていませんし、政権与党の民進党も「一つの中国」ではなく、台湾はひとつの主権国家だという立場です。そのため、トランプ氏の言動をきっかけに、民進党寄りの中国進出企業は今後同様の圧力がかけられる恐れがあります。

すでに今年の9月には、カナダで行われた国際民間航空機関(ICAO)の総会に台湾が招待されないという事態が起こりました。馬英九政権時には招待されていたことから、蔡英文政権に対する中国の圧力だという見方が強まっていました。

台湾、今年の国際民間航空機関の総会に招待されず 中国が圧力?

逆に言えば、それだけ中国は焦っているということでもあります。1月に蔡英文政権が誕生し、7月にはオランダ・ハーグの仲裁裁判所で南シナ海に対する裁定が出され、同月には韓国がTHAAD(高高度ミサイルシステム)の配備を決定、そして12月にはこのトランプ発言です。中国にとっては頭の痛い事案が次々と起きています。

次期アメリカ大統領が「一つの中国」を否定する可能性があることを示唆したということは、非常に大きなことなのです。中国にその解釈権を与えないと表明したことに等しいからです。

自由時報によれば、北京情報筋の話として、中国共産党は報復対象のために、中国が輸入しているアメリカ製品のリストアップを始めているといいます。もちろん輸入関税を引き上げたりさまざまな嫌がらせをして輸入ストップさせるためでしょう。

將報復美國?路透:傳北京已列好企業名單

とはいえ、アメリカは中国にとって最大の輸出国である以上、報復措置を取れば、アメリカ以上に中国経済がダメージを受けることは間違いありません。中国は約60兆円の貿易黒字国ですが、そのうちの半分以上、約32兆円は対アメリカでの貿易黒字です。アメリカこそ中国の最大の輸出相手国なのです。だからこそトランプ氏は中国批判を続けているわけで、中国が経済的な報復措置に出たところで、痛むのは自分の側なのです。

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