相も変わらず芸能人のスキャンダルが世間を騒がせていますが、誰にでも「知られたくない過去」はあるものですよね。仮にそれが仕事に関係することだったとしたら、あなたは面接時に自分から申告しますか? 無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、以前の職場で引き起こしていた「パワハラ・セクハラ問題」を選考時に告げなかった教師の事例を挙げながら、会社として採用時に注意すべきポイント等について解説しています。
選考時の「自己申告」はどこまで求められるのか
芸能人の黒歴史というのがたまに話題になります。私にとっては特に気にならないものも多いですが、ファンの人や、逆にアンチの人、そしてその芸能人本人にとってはとても気になるものなのでしょうか(それが犯罪行為などであればもちろん問題ですが、「デビュー前はこうだった」「売れない時期はこんなこともやっていた」などは、今の本人の人気に影響するものでもないと思うのですが)。
ただ、芸能人に限らず誰にでも「知られたくない過去の出来事」というのは少なからずあるのではないでしょうか。これがプライベートな付き合いの友人たちとの間では、それらはもちろん「ヒミツ」で問題は無いでしょう。ただ、これが会社の「選考」であればどうでしょうか。
例えば、前職の退職理由が「営業成績が悪く、会社にいづらくなった」「懲戒処分を受けて、退職した」などは、応募者にとっては当然「知られたくない過去の出来事」でしょう。
ではそれを選考時に話をしなかったらどうなるでしょうか。
それについて裁判があります。
ある学校で、選考時に前職でパワハラ・セクハラ問題を起こしていたことを秘密にしていたとしてその先生が解雇されました。
そこでその解雇に納得がいかなかった先生が学校を訴えたのです
では、この裁判はどうなったか?
以前のメルマガでもお伝えしましたが、面接時に経歴詐称を行った場合それは懲戒解雇の理由にもなりえます(もちろん、すべての経歴詐称においてではありませんが)。
※ ご参考:経歴詐称は懲戒解雇の理由になるのか
今回はどうでしょうか。
裁判の結果、会社が負けました。裁判所は「自発的に告知する法的義務があるとまでみることはできない」と、判断したのです。つまりそのパワハラ・セクハラ問題を「自己申告」する必要まではないと判断したということです。
なぜか? 実は、選考当時その問題は「調査中」ではっきりと結論が出たわけでは無かったのです。そこで、裁判所は「自己申告しなかったことは批判されるべき点がなかったわけではない」とは言いつつも次のように判断しています。
- 自己に不利益な事項は、質問を受けた場合でも、積極的に虚偽の事実を答えることにならない範囲で回答し、秘匿しておけないかと考えるのもまた当然
- 採用する側は、その可能性を踏まえて慎重な審査をすべき
- 告知すれば採用されないことなどが予測される事項について自発的に告知する法的義務があるとまでみることはできない
つまり、「聞かれたわけではないことは自分から言う必要は無い」ということです。
いかがでしょうか? これは選考時に非常に気を付けるべき点です。みなさんの会社ではどのように応募者に確認をしているでしょうか?
例えば、みなさんの会社もそうだと思いますが履歴書の「賞罰の有無」欄を確認しているところが多いと思います。ただ、この欄の「罰」は通常は確定した「罰」を指すため「調査中」などで確定していないものは書く必要がありません。
また、面接時の「懲戒処分を受けたことがありますか?」という質問も、同様です。ここで確認すべきなのは「懲戒処分を受ける可能性のある行為」も含めた内容です。面接時には必ず確認するようにしましょう。
入社後のトラブルを防ぐためには選考時の確実な確認が重要なのです。
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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