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【映画野郎】観る価値ある?お正月話題の3作を斬る激辛トーク!

この年末年始は映画ファン垂涎の大作が次々公開されました。その中から『映画野郎【無料メルマガ版】』恒例の激アツトークの俎上に載せられたのは、スター・ウォーズのスピンオフ『ローグワン』、バイオハザード最終作『バイオハザード:ザ・ファイナル』、そして映画野郎読者の皆さんなら見逃せないスリラー映画『ドント・ブリーズ』の3本の話題作。映画を誰よりも愛する編集部のお三方が語り尽くします!

『ローグ・ワン』『バイオ』そして『ドンブリ』! 2016-2017年末年始の注目三大映画特集トーク!!

じょ~い小川(以下、小川):さて、久々となりました通常版シネトーク、今回は2016年12月に公開となった『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と『バイオハザード:ザ・ファイナル』。映画野郎読者の皆さんとしては、いま最注目といえる正月2大SFアクション大作について、存分に語っていきたいと思いますが……。

原口一也(以下、原口):ちょっと待った! これに公開規模が小さいけど、やはり野郎読者なら見逃せないスリラー映画『ドント・ブリーズ』も加えてよ。どうせ2人も見ているでしょ?

小川:もちろん! 単純に公開規模と話題性で先の2本にしましたが、改めて『ドント・ブリーズ』を加えた3本を柱にした2016年末の映画を語りましょう、と。

KANTO:『ドント・ブリーズ』は、『ローグ・ワン』と同じ週に公開ですが、映画野郎ど真ん中なジャンル映画なので、むしろメインで扱うべき作品ですよね。初日の1回目に観ましたよ。半年前から楽しみで。

原口:それくらいの作品だとは思うけど、公開しているスクリーン数が先の2本とぜんぜん違うんだよね……やってないシネコンがいっぱいある。で、この3本、単品ずつレビューするのもいいけど、共通点などもあったりして、比較したりするとまた見えてくるものもあると思うんで。

KANTO:なるほど。話し込むうちに、誰も気がつかなかない部分まで掘り下げることが出来るかも。

原口:まず、3本見たうちのどれがよかったかの順番が聞きたい。おれからいくけど、1番はもう断然、ドンブリ』。

小川:丼? ドンブリね(笑)。

KANTO:そりゃ呼びやすい。

原口:『ドント・ブリーズ』の略で『ドンブリ』。「ドント・ブリーズ」ってちょっと言いづらいんで。ソニー・ピクチャーズのプロモーションでも「通称:ドンブリ!」って言っちゃってるし。

小川:配給公認ですか(笑)。

原口:そうそう。で、次がバイオ』。最後がローグ・ワン』かなー。『バイオ』は意外と言っては何だけど、面白かった。

小川:うーん、実は同列……と言いたいけど、微妙に『ドンブリ』>『ローグ・ワン』>『バイオ』かな。点数で言えば同じ4つ星ですね。

KANTO:ダントツは、やはりローグ・ワンで次がドンブリ』。『バイオ』は、今年観た全ての映画のずっと後ろに置かせてもらいます。理由は後ほど。

原口:それぞれなんでその順位になっているかは、単体で語る中で明らかにしていきましょう。

小川:まずはやっぱり『ローグ・ワン』からいきますか。

原口:中身に入る前にまず。つい先日の12月27日、レイア姫役でお馴染みのキャリー・フィッシャーさんが急逝したということで。60歳でまだ若いし、次作にも出演予定だというのに……。

KANTO:これは本当にショックでした。今年は大物ミュージシャンや俳優が亡くなりましたが、まさかスター・ウォーズ・ファミリーからも出るとは。

小川:『ローグ・ワン』のラストシーンの余韻があるだけに残念!

原口:『ローグ・ワン』公開中に亡くなるとは、なんというタイミング。ご冥福をお祈りします。で、シリーズは一応見ているけど、正直「スター・ウォーズ愛」がそれほどないんで、一話完結なスピンオフということで単発の作品として見られる部分に期待していましたよ。

小川:今回、エピソード4を始め、エピソード5、エピソード3に出て来た帝国軍の超兵器デス・スターの設計図を盗むことをミッションとし、これに反乱軍はみ出しチーム「ローグ・ワン」が挑む、というのが大筋ですけど、いわゆるスピンオフ作品としては8年前のクローン・ウォーズよりも手応えを感じましたね。

KANTO:スピンオフと言うカテゴリーでは、テレビ用ドラマやアニメ、小説と様々な形で作られてきたスター・ウォーズ・サーガですが、本作は長編映画で初めて作られたスピンオフ。ただ、ルーク・スカイウォーカーをはじめとするメインキャラクターにフォーカスしていないとは言え、エピソード3とエピソード4の間をきちんと描いているだけに、エピソード3.5と呼んでも過言では無いですね。

小川:そうなんですよ、ルークもオビワンもヨーダもいない、いわゆるジェダイの戦士がいないのにスター・ウォーズと言えるというね。

原口:これに関して、申し訳ないというか『ドンブリ』とのハシゴで見たんだけど、寝不足で体調が悪かったのか、ずっと眠くて眠くて……。序盤からなんか退屈でなかなか入っていけずで。でも見どころは多いので2人にフォローしてもらえれば。体調のいい時にもう一回見ないとと思っているんだけど。

小川:ともかく、今回の作品の見所の1つとして、70年代のレトロっぽさがありましたね。3Dホログラフが妙にエピソード4風の粗いホログラフっぽさがあったり、わざとっぽさがあって、そこがまたしっかりとエピソード4につながってると思うんですよ。あと交易惑星の『ブレードランナー』のような感じとか、色々と懐かしさがありますね

KANTO:スター・ウォーズ・サーガに長年傾倒して居る身としては、まずは良くぞやった! と褒めたいです。少なくとも、スター・ウォーズを表面的にさらっただけのエピソード7に失望していただけに、エピソード4と同じ世界観で、ファンが観たいバトルを存分に見せてくれたギャレス・エドワーズに感謝したい。スピンオフならではの、自由な作風が功を奏したかな。

原口:まあ、キャラクターをあまり引きずっていないのに、スター・ウォーズらしさをちゃんと入れているのはファンには嬉しいところだと思う。

KANTO:本作を観た後、家でエピソード4の冒頭を観たら完全につながっていた。何故、最強の破壊兵器デス・スターを反乱軍が破壊できたのか、新たな理由が暴露されて、39年ぶりにそうか!て思ったし。

原口:「エピソード4」は最低みておかないと、面白さがわからないという部分ではビギナーには勧めにくい作品かな。チラっと懐かしい顔がカメオで見られて嬉しい部分も、エピソード4前提だもんね。

KANTO:カメオ出演は楽しい反面、エピソード7のように「出せばいいだろ」的な感じじゃなくて、必然性があったのが非常に良かった。もちろん、そうじゃないチラ見せキャラも居たけど。

小川:なるほど、エピソード7のハン・ソロ、チューイ他の懐かしキャラは悪く言えばプロレスの「リアルジャパンプロレス」で見る長州力とか佐山サトルみたいな感じで、彼らがチラリならいいけど、メインで若手と一緒というのもね。ま、その加減は今回上手かった。

原口:で、ストーリーというか展開について。クライマックスの衝撃性はたしかにあったんだけど、それにしてもチームローグ・ワンが集まるまでは退屈じゃなかった?

KANTO:そうなんです。この映画、悲しいかなスイッチが入るまでは本当に退屈でやりきれ無かったね。フォースの使えない人たちの話だと限界があるのかと。

小川:「序盤が退屈」という声は実は多少聞こえましたが、序盤は戦闘シーンがチアルート登場まで少ししかないというのもあったし、チーム「ローグ・ワン」の紹介として中盤まで来たという展開に賛否がありましたかね。

原口:あと残念だったのは、初登場の人物ばかりだから難しかったのかもしれないけど、キャラクターの立っていない人物が多くて、キャラ面で魅力に乏しかったよ。唯一良かったのは、香港のアクションスター、ドニー・イェン演じる盲目のチアルートかな。あの中では一番見ている役者だし、アジア人だし、やっぱり肩入れしちゃうな。

KANTO:ヒロインのジン・アーソは流石に分かりやすいけれど、他のキャラはドロイドを除いて今でも名前が覚えられない。チアルートは、フォースの力を信じて念仏まで唱えるけど、どんなに心と身体を鍛えても「ジェダイ騎士」の才能を持ってないからフォースは使えない。非常にかわいそうなキャラクターとして描かれていてホロリと来ます。まるで『七人の侍に出てくる菊千代のような運命を背負ってますよ。

原口:そうそう、しかも格闘シーンの立ち回りがアクションスターらしく決まっていて、アクション面では一番かっこよかった

小川:原口さん、KANTOさん、何をおっしゃいますか! 今回のチーム「ローグ・ワン」でリーダー的存在のキャシアンを演じた彼はメキシコの大スターのディエゴ・ルナですよ! それに反乱軍のソウ・ゲレラなんか『ラストキング・オブ・スコットランド』のフォレスト・ウィテカーだし、何よりもジン・アーソの父ちゃんが「デンマークの至宝マッツ・ミケルセンじゃないですか! 『007 カジノ・ロワイヤル』のル・シッフルを演じた彼ですよ。ということで、ミニシアター好きには彼らの活躍を見てるだけで味がありましたよ。

原口:それ言い出したら、クレニックのベン・メンデルソーンもいい役者だけど、映画野郎目線で見るならやっぱり、あのドニー・イェンがチーム「ローグ・ワン」のメンバーとして活躍してるってのがダントツに嬉しいでしょうということで。それにフォレスト・ウィテカーとマッツ・ミケルセンって、詳しく言えないけど、途中退場けっこう早いのがガクっときた

KANTO:名優が出ているのに、前半がつまらない不甲斐なさね。

小川:そうだね、チーム「ローグ・ワン」という名の多国籍軍が出るまで長かった。今回のマッツ・ミケルセンって2、30年前ならルトガー・バウアーとかウド・キアーの「北欧の帝王ポジションなんだけど、良く考えたら最初ちょっと出ただけだしね。「デンマークの至宝」を活かしきれてなかったかも。フォレスト・ウィテカーももうちょっと暴れて欲しかった。あとね、これ、2017年の1月以降のアメリカなら多国籍軍というかはみ出し部隊にメキシコ枠がより雑になるか、なくなるね。その代わり、中国やロシア枠が増えるよ。あと、ソウ・ゲレラもエド・ハリス辺りにしたりね。

KANTO:その代わり、中盤からある悪役キャラクターが出てきて、急に映画が引き締まった。本作がエピソード3.5と言いたい理由もそれなんだけどね。さらに、クライマックスには映画を観てない人も知ってるキャラが本当の怖さを発揮してくれたし。

小川:ああ、あの帝国軍の方かな。終盤はみんなはっ!となっただろうけどね。

原口:アクションについてもちょっと否定的で申し訳ないけど、銃撃戦メインで、『ドンブリ』『バイオ』と比べると肉体性に乏しいというか、痛みが感じられないものが多くて、微妙だった。まあ、アクションの肉体性に乏しいのはこれまでのスター・ウォーズはみんなそうかもしれないけど。だとしたら、もっと空中戦とかメカをバリバリ使ったものとか、ライトセーバーの立ち回りとか派手なものがもっといっぱい欲しかったかな。

KANTO:スター・ウォーズのライトセーバー戦を期待している人にはガッカリなのは仕方ないかもしれないですね。僕は逆にエピソード4・5・6に出てくる空中戦や地上戦支持派だから、旧三部作のエッセンスを上手に盛り込んでくれたので、そこだけで大満足でした。とりわけ、カット割りやスピード感も昔ながらの見せ方で。

原口:全体の雰囲気や演出を旧三部作に寄せているところが懐かしくていいと思うか、もっさり古臭いと思うか、意見は分かれるところかもね。

KANTO:うーん 懐かしさとはちょっとニュアンスが違うかな。正しいスター・ウォーズの描き方に徹した結果に思う。

小川:ところで、今回上映スタート時と終映後に拍手とか歓声はありました? これ、わりと『スター・ウォーズ』シリーズのお約束だと思いますが。

原口:自分は普通に平日の新宿ピカデリーの2Dで見たのもあって、半分くらいの入りだったし、拍手とか歓声とかもちろんなかったよ。週末とかファンの集まる時間帯だったら違うだろうけど。

小川:意外ですね。

KANTO12月16日の品川IMAXでは拍手してましたね。僕は興奮し過ぎて拍手するのも忘れたけど。

小川:ボクは15日24時の最速上映で観て、ダース・ベイダーやストーム・トルーパー兵のコスプレイヤーがいる中で観て、ルーカス・フィルムのロゴが出ただけで歓声がありましたが、今回のオープニングテーマがジョン・ウィリアムズのいつものじゃないから、なんかふわっと始まった感じがありましたね。で、終わった後も拍手、と。

原口:やっぱり早いうちに見とけば良かったかなー。

小川:お次は『バイオハザード:ザ・ファイナル』ですけど、観る前は正直期待してませんでしたけど、意外と良かったですね。

原口:良かった。前作がかなりイマイチだったからそれでハードルが下がっていたのはあったかな。

KANTO:お二人には申し訳ないですが、冒頭から退屈で、終始イライラしながら観てました

原口:そ、そうなの!? 冒頭の空飛ぶモンスターとのバトルから楽しかったけどなー。

小川:って言うか、まさか『バイオハザード』シリーズに『マッドマックス2』、若しくは『マッドマックス/怒りのデス・ロード』のような装甲車・トレーラー上でのバトルや目的地に向かうプロットを大胆に取り入れるとは思わなかった。

原口:面白いよね。最近の流行りを大胆にパクってくる節操のなさがいい。終盤イアン・グレン演じるアイザックス博士との闘いで、「格闘予測ソフト」で何回か武器の使い方をシミュレーションするシーンがあるじゃない。あれデンゼル・ワシントンのイコライザーのパクリか? って思って笑った。

小川やりたかったんですよ、ポール・W・S・アンダーソンが。最後だし、やりたいことやっちゃえ的なね。

原口:『バイオ』と『ローグ・ワン』って、今期の正月映画の2大アクションという並びではあるけど、『ローグ・ワン』はもともとスター・ウォーズだから「A級」なところを期待されているのはあるだろうけど、『バイオはゾンビ映画だからB級なんですよ。ジャンル映画。娯楽作。感動とかを期待するんじゃなくて、どれだけ楽しませるかっていう、そのB級な作りを徹底しているのがいいと思う。あと名場面的なところでは、ゾンビ(アンデッド)たちを業火で燃やすシーンとか、あの大量のゾンビマラソンシーンもかなり良かったな。豪快でいい。

小川:あれは見てて笑った。装甲車とゾンビ達の位置が絵的に昔のアメリカ横断ウルトラクイズのマラソンクイズみたいでね。

原口:CGを使うような派手なシーンだけでなく、意外と格闘面もしっかり見せ場があったのも良かったね。イ・ジュンギ(かな?)とのタイマン勝負もけっこうシビれた。

小川東洋アクションキャラもしっかり入れてね。

原口:そう考えると、ミラがいかにアクション女優として成長したかも見て取れる。子供産んで、年も取っているのに衰えが感じられない。

小川:あ、ミラに関しては今回熟女の美魔女として楽しみましたね。悪く言えば老けちゃいましたけど、いい老け方をしたな、という目で見てましたね。ある意味、熟女を楽しむ映画でもありましたね。

原口:そうそう、いい歳の取り方をしている。そういうジャンルで見ると、「美魔女アクション映画」の最高傑作かも(笑)。

小川:あとハイブに入った後の数々の仕掛けも良かったですね。

原口:過去作にも登場した、ベタなトラップが多いんだけどね。レーザーカッターのトラップとかね。でもまたそれが総集編というか集大成な感じで良かったよ。トラップが次々とやってくる、ピンチの連続の仕掛け方が目まぐるしくて、その詰め込みぶりが良かった。

KANTO:それと逆の感想になりますが、この映画、動きが速すぎるとの画面が暗過ぎて何をやってるのか全然見えないんですよ。カット割りが多いのは、マイケル・ベイの『トランスフォーマー』シリーズもそうですが、あれは緩急があってそこそこバランスが取れていた。逆に、本作はほとんどのシーンのカット割りが速過ぎて、起きてることがわからない。どんな形状なゾンビに襲われたのか。あるいは勝ったのか負けたのかさえ分からない時がある。ハリウッド映画は、いつから観客に異常な動体視力を求めるようになったのかと。終始バカにされてる気がして、楽しむ以前の問題だった。まあ、他にも前作と全然つながってないストーリー展開とか、不満しか上がらないので少し黙ってますね。続きをどうぞ。

小川:確かに対ゾンビとのバトルシーンは早すぎて雑だったと思う。

原口:見せ方が雑かなと思うところはあったけど、『トランスフォーマー』とかで鍛えられているところもあるし、それほど気にならなかった。前作までの変にスローモーな演出よりも断然いいと思ったな。今回の『バイオ』が良かったのは、アクションと展開のテンポをとにかく速く変えたところだと自分は思ってたんだけど、そこがKANTOさんと真逆な感想になっていてビックリしている。今年(2016年)は『シン・ゴジラ』もカット割りや台詞が速くて、そこが面白かったところだったし、『この世界の片隅に』もかなりカット割り速かった。今年はそういう目まぐるしい演出がトレンドじゃないかと思ったりしてる。

KANTO:『シン・ゴジラ』は展開が速いように見えて、見せ場はかなりしっかり描いていたと思いますよ。まあこのシリーズ、そもそもゲームに出てこないアリスが主人公の1作目がやはりと言うか。すごくつまらなくて。ようやく、ジルやクリスと言ったゲームのキャラが出てきた2作目から面白くなって、その集大成の5作目で盛り上がっての本作だったのに、また1作目に回帰した感じで。クレアだけはいたけど、ジルもクリスも居ないことになってたり。それもゲームのファンとしてものすごくガッカリでした。シリーズが長引くと冗長になるのはよくあるけど、今回はストーリーから絵作りまで、全てにおいて感心できなかった。今年の最低映画『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』を凌駕した感じ。楽しまれたお二人が羨ましい。はい。僕は無視して続きをどうぞ。

小川:なるほど。確かにボクはゲームを全くやらないから逆なんですよね。1と本作だけで十分。謎が解けた。楽しみ方が真逆なのは整合性がありますね。

原口:うーん、ゲームは初期のはやったけど、映画とゲームは違ってても面白ければオッケーなタイプなので。全然見方が違っていてかみ合ってないかもしれないけど、『インデペンデンス・デイ:リサージェンスが最低映画なのは同意。(笑)

小川:若干、これまでの『バイオハザード』シリーズ作を見ないと分かりにくい所も、というか最初のバイオハザードだけ見とけばいいですかね。

原口:前作の設定をいきなりリセットしているのもあるし、最初だけでも問題ないと思うけどね。でもシリーズ6作続けて、一応ちゃんと完結させたところが美しいよね。まとまらず中途半端に終わるシリーズも多いのに。これは「アリスの物語」でもあるけど、シリーズの敵役のアイザックス博士の集大成でもあったかな。それを考えても感慨深かった。ウェスカーのヘナチョコな最期は笑ったけど。

小川:アイザックスのおじさんも良かった。正直、ちょっと強かったかなとも思ったけどラストならありかな、と。

原口:あと最後に日本側の唯一のキャスト、ローラに突っ込んでおきますか。まあネットでも散々話題になってますが。

小川:おそらく、ボクが僅かながら『バイオ』を3番目にした最大の理由がローラかな。もうね、邪魔で邪魔で。あそこだけ、今は亡きフジの「新春かくし芸大会レベルでね(笑)。まあ、でも笑いましたよ。彼女がスクリーンに出る度に。

原口:日本でTVドラマにも出ていなかったし、本職がモデルさんだからねえ。

小川:ここまで『ローグ・ワン』と『バイオハザード:ザ・ファイナル』を話してきましたが、これだけでなくやはり『ドント・ブリーズ』もこの年末年始の映画では外せないかな、と。

原口最高だった。まあいち早く、町山智浩さんがベタ褒めしていたのがあったから期待値も高かったんだけど、期待に違わぬ出来の良さ。

KANTO:ポスターに20年に1本の恐怖の作品と銘打ってますが、毎日のようにホラー映画を観ていたら、まあ普通でしたね。ただ、発想は新しくて意外なところで爆笑必至だったのは評価に値します。

小川:「20年に1本」は確かに言い過ぎ。それでも『ドント・ブリーズ』、要は逆『暗くなるまで待って』で弱者であるはずの盲目の人が元軍人でバカ強いというね。

原口:この逆設定はアイデア賞ものだよね。普通、盲目の人間が強いなんてあり得ないから。アップになったあの目の感じが、人間ではない何か、モンスターっぽさを出していて、恐怖をあおる。

小川:ただバカ強いだけでなく、盲目の老人に(具体的には書かないけど)変態要素があって、ちょっと深味が増しましたね。

原口:本当にゲロ吐きそうになるくらいの変態で(笑)。ネタバレになるので詳しく言えないけど。あの変態展開が俺たちの予想を超えるんだよね。そこで、老人と泥棒たちの見方が変わるというか。そこがドンブリのすごいところ。

KANTO:あの展開は予想出来なかった。これぞ20年に1本の衝撃かも。

小川:あと侵入する側と盲目の老人のバッグボーンにデトロイトの衰退や湾岸戦争という社会的背景を入れた辺りも良かった

原口:単純なB級スリラーかと思いきや、キャラクターのバックボーンをしっかり描いているのが深いね。脚本がとにかく素晴らしい。善悪がはっきりしなくなる部分がジャンル映画っぽくなくて、そこがイヤって人もいると思うんだけど、そこがでも良かったと思う。

KANTO:サム・ライミがプロデュースしているだけに、ヒロインの顔が『スペル』の主人公に良く似てたね。でも、僕はこのヒロインに全く感情移入出来なかった。予告編でもバラしているけど、彼女はそもそもが泥棒なわけで、人の住居なは不法進入している時点で悪役の立場にある。怖い目にあっても「泥棒だし、自業自得じゃん」と言う冷めた目線で観てましたよ。ある意味それが現実的なのかも知れないけど。

小川:そこなんですよね。酷い目にあっているけど自業自得。しかしながら、その自業自得サイドの3人の中でも自業自得の度合いが強いヤツとそうでもないヤツがいてね。

原口:泥棒なんだけど、応援したくなるという難しい立ち位置のヒロインを上手く造形したと思ったな。役者ではスティーヴン・ラングの怪演も素晴らしかっんだけど、個人的には、ヒロインのロッキーを演じたジェーン・レヴィちゃん可愛かった。アルバレス監督の前作『死霊のはらわた』にも出ているけど、もっと活躍してほしいね。B級絶叫クイーン路線もいいけど、メジャー映画でも。

小川:ジェーン・レヴィ、代表作が『死霊のはらわた』と『ドント・ブリーズ』って凄いよね。完璧にホラー女優ですね。ジェシカ・ビールの『テキサス・チェーンソー』と『トールマン』にも負けてません。

KANTO:スティーヴン・ラングって知らなかったけど、『アバター』のクオリッチ大佐なんだよね。道理で強い訳だよ。

原口:中身から離れるけど、ソニー・ピクチャーズから先日リリースがあって、ドンブリって全国でたったの33スクリーンの公開ながら、わずか10日で興収1億を超える大ヒットだって。33スクリーンでこの数字は立派。ちなみにローグ・ワンは368スクリーン、バイオハザード353スクリーンだから、10分の1以下。ちゃんと面白さは伝わっているね。年明けてからスクリーン数も増えるかも。

小川:しかしながら、某アニメ映画みたいにおそらく拡大公開しないであろう所がホラー映画の悲しさでしょうかね。拡大して欲しいなー。

原口:ちょっと思った今日語った3作の共通点だけど、まあ、どれもヒロイン主人公ものだよね。そして男と変わらない、体を張った活躍をするってところに、男も女も平等に働け、的な現代性を感じるかな。

KANTO:なるほど、3作品の共通点はヒロインが主人公と言う点か。いや、話してみるものですね。

原口:さらによく考えたら、筋立ても基本的には3本とも似てるよ! 敵のアジトへある目的のために集団で潜入していって、敵に反撃されて1人1人死んでいくという……ドンブリは人数少ないけど。

KANTO:ある使命を持って敵の陣地に乗り込むフォーマットは、ジャンル映画らしくてとても良いね。ケレン味出しやすいじゃん。

原口:で、ヒロインものとしてみて、『ドンブリ』と『バイオハザード』はそのアクションの肉体性の部分が勝っていた分、自分としては『ローグ・ワン』よりインパクトがあったんだよね。プロレスでいえば天龍源一郎的な「痛みが伝わるプロレスというか(笑)。個人的に。プラス、映倫の「PG12」指定の表現的なインパクトももちろん。

小川:まあ、『ローグ・ワン』のあの女の子に「痛みが伝わる」はキツいっスね(笑)。

KANTO:肉弾戦なら『ドンブリ』くらいのスピードがちょうど良かったですね。緩急あったから。個人的には70年代の映画のスピードにこだわった『ローグ・ワン』が1番シックリきます。動きの速過ぎるバイオハザードは論外と言うことで。

原口:あと『バイオ』と『ドンブリ』の共通点だけど、どっちも「犬が怖い」ってのがあった。意外と。犬が嫌いな人はトラウマになるかも。だから個人的には『ローグ・ワンも犬がいればもっと面白かったかも……。

KANTO:ははは!

小川:実はですね、その犬が怖いっていうのは2017年公開映画で既に2本見てます。ある意味今後のちょっとしたブームを先どってますね。ということで、3人の合計とかを見ても、共通点を抜き出してもドンブリこと『ドント・ブリーズ』が一番かな、このトークでは。まだ観てない方も1月半ばぐらいまでは……いや、特に33スクリーンしかやってないドンブリは早く終わってしまうかも……。

原口:『ドント・ブリーズ』は近くのシネコンでやってなくても、電車賃かけでても映画館の静かで暗い中で見たほうがいいよ! 怖いよ!

KANTO:観客も息を殺して観るように誘導されるよね。あの演出には驚いた。

小川:ということで、皆さん、良いお年を。……じゃなくて、これが載る頃には明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします、でしょうかね。

KANTO:もっともっとエグイ映画が観れますように。

 

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー中! 
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式HP

バイオハザード:ザ・ファイナル
丸の内ピカデリー他全国ロードショー中!【PG12】
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式HP

ドント・ブリーズ
TOHOシネマズ みゆき座他全国ロードショー中!【PG12】  
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式HP

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image by: Marcell Faber / Shutterstock.com

 

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