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贅沢をしている高級官僚が「CO2削減」を掲げるニッポンの矛盾点

ゴミの分別・リサイクルについて異を唱えてきたメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者である、中部大学の武田教授。今までの記事では、リサイクルやゴミの分別による弊害や、メディアが伝えてきた嘘について暴露してきましたが、今回は贅沢三昧な暮らしをする高級官僚や政治家が「CO2削減」を唱えることの矛盾と、真面目な日本人がリサイクルに真剣に取り組むことによって起こる不幸について言及しています。

贅沢な暮らしをする高級官僚が「CO2削減」を掲げている矛盾

社会が混乱してくると、辻褄の合わないことが起こり始めます。多くの人は忙しいので、専門家の言うことをそのまま納得してしまいますが、そこに大きな落とし穴があります。たとえば、次のようなことです。

1) 学校の先生は「成績が良い方が良い」と考えている・・・その結果、勉強のできる子供が良い大学に進学して、高給取りになる。

2) 学校の先生は「節約して環境を良くしなければならない」と子供に教えている。

3) 成績が優れ、良い大学を卒業した人は平均的に高給取りになり、その結果、多くの物質やサービスを買い、資源を余計に使い、環境を汚染させている。

つまり、学校の先生は二つの相矛盾したことをしていますが先生が矛盾を感じている訳ではありません。社会が複雑なので、こんな単純な関係にも気が付かないのです。捨てる物を買うという「有料ゴミ袋」の矛盾も気が付かないのですから、このぐらい遠い関係になると、現代の社会では誰も気が付かないという状態です。

それでは、子供の成績は悪くても良いのでしょうか?

私が産業界で活動していた頃のこと、ある地方の仕事でした。人口が6万人程度のその市は自然と文化・歴史に囲まれたところでしたので、私はよく史跡を訪れてはその時代に思いをはせたのです。

でも、一緒に行った人の大半は「武田さん、そんな古い石を見てても仕方が無いから、少し先に美味しいうどん屋がありますから、行きましょう」と言うのです。その人たちを軽んじるということではなく、私は歴史を知っているので、その場所に立つと、昔の風景が思い浮かべ、まるで敵味方の武将の叫び声が聞こえるようでした。

学問というのは人生を深く豊かにしてくれます

そのためにこそ勉強するのですが、実際にお母さんの立場になれば、少しでも我が子が社会で認められ、安心して人生を送らせたいと思うのも当然で、「勉強しなさい!」という事になります。

だから、勉強した子が優秀な成績を収め社会で活躍するのも仕方が無いのですが、それは本来の教育の目的ではないことも確かです。その典型的な人が総理大臣を多く出した鳩山家で、鳩山御殿という所に住み、十分に冷暖房をかけ、外出は全部大きな車です。そして、その鳩山さんが首相になるとCO2を削減すると言うのですから、首相自体が大きな矛盾に気が付かないでいます。もし気が付いているとしたら、皆で協力して実施するはずの「環境改善」を「俺は偉いからいくらでもCO2を出して良いが貧乏人だけは我慢しろ」ということになります。

リサイクルをするほど、幸福な生活から遠ざかっている

このシリーズで示したように、もし石油に限りが有り、CO2を出すと環境を破壊し、リサイクルしないとゴミがあふれるなら、皆で節約して過ごさなければなりませんから、学校教育も難しくなります。でも、実は石油は膨大にありCO2で温暖化しても環境は破壊されずリサイクルせずに焼却した方が資源の有効利用になるというのですから、「勉強し、成功し、お金持ちになり、ジャンジャン使って楽しい人生を送る」ことができるのです。

多くの人が太陽電池は石油などを節約できると錯覚していますが、石炭火力の生産コストはキロワットアワーあたり10円、それに対して太陽電池は石油からの電気を30円分使って、鉄板、シリコン材料、組み立て、制御を行い、それで10円相当の電気を生じますから、差し引き20円分の電気を余計に使うことになります。

この例で分かるように、もともとの天然資源の多くは土の中に「タダ」で眠っているか、「タネ」を蒔けば太陽と水があれば(実はCO2が主原料ですが、空気の中に含まれていて目に見えないので気づきません)すくすくと野菜やイネが育ちます。だから、「社会に出回っているエネルギー物の値段はそれがそのまま資源とエネルギーの消費量に比例する」という原理原則があるのです。

だから結局、お金持ちほど資源やエネルギーを浪費するということになります。

お母さんに怒られながら苦労して勉強し、大学受験、就職試験を突破してモーレツに働き、その結果、給料が増えても「環境のために我慢するのだったら何を努力し何で頑張るのかわからないのです。

実は、20世紀はあまり何も考えずに消費してきたら、20世紀後半になって「環境問題」に気が付きました。そして、またあまり何も考えずに節約を唱えて日本人の人生は大きく損をしました。その損は単にお金のことだけではなく、自分がしたいこと、美味しいご飯、大きな家、ゆっくりした生活、着飾ることができただろう洋服、したかった研究、やりたかった事業・・・の多くを逸したことを意味しています。

リサイクルはその中でも損害の多い行為です。一刻も早く止めて環境を総合的に考え、幸福な人生を送ることができる日本を子供たちに残したいものです。

image by: Shutterstock.com

 

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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