日本の美徳。暴走族をも激変させた「トイレ掃除」の不思議な効果

 

トイレ掃除の5つの効用

なぜトイレ掃除がこうした効果を持つのか、について、各地で展開されている「掃除に学ぶ会」では、次の5点が紹介されている。

第1は、トイレ掃除を続けていると、例外なく謙虚な人になるということ。そして謙虚に物事や他人に向き合うことができるようになる。

第2に、気づく人になる。普段何気なく使っているトイレも、掃除をしてみれば、こんなに汚れていたのか、と気づく。その気づきが人に向かえば、思いやりの心につながる。

第3は、感動の心を育む。身の回りのありふれたトイレ掃除でも、ひたすら取り組むと、こんなに綺麗になった、という感動が生まれる。また、その姿が見ている人の感動を呼ぶ。

第4に、感謝の心が芽生える。自分でトイレ掃除をして見れば、普段使っているトイレや教室なども、誰かが掃除をしてくれたから、と気づき、小さな事にも感謝できる感受性豊かな人間になれる。

第5に、心を磨く。掃除に一心に取り組んでいると、雑念が消え、素直な心になる。

神道や仏教でも、掃除が修行の基本として教えられるのは、掃除が人の精神に及ぼす影響が昔から認められているためであろう。同時に掃き清められた神社や仏閣が、参拝する人の心を清める。

日本統治時代の台湾でも清潔な国づくりが効果を上げた。現代の企業経営でも、整理・整頓・清潔・清掃・作法・躾の6つの「S」が基本とされている。

中国の凄まじく汚れたトイレで

トイレ掃除は海外にも展開されている。台湾でイエローハットを経営している大財閥の叙重仁社長が、自ら率先して300人以上の人々とともにトイレ掃除をする姿は、台湾中の新聞やテレビのトップニュースとなった。ブラジルでも日系人たちのトイレ掃除が全国的なニュースとなった。

鍵山氏は中国にもトイレ掃除を教えに行った。中国のトイレの汚れ方は凄まじい。自分さえ良ければいい、という人が多いために、用を足した後、水を流さない。次に入った人も、どうして前の人の残したものを自分が流さなければならないのだ、と、そのままその上に用足しをする。かくして、水洗トイレなのに山盛りの糞尿が残る。

鍵山氏が、中国の大学構内で学生たちと掃除した時も、こういう状態だった。さて、こういう状況はどうするのか、と学生たちが固唾を飲んで見守っている中、鍵山氏は素手で山盛りの糞尿を便器の穴に押し込み水を流した

そして、静かに振り返って「さあ、あなたはここをきれいにしてください」と一人一人に便器を割り当てていった。ここまで率先垂範されると学生たちも後には引けずトイレ掃除に取り組み始めた

print
いま読まれてます

  • 日本の美徳。暴走族をも激変させた「トイレ掃除」の不思議な効果
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け