【書評】尖閣・漁船体当たり事件を「予言」した日本人アナリスト

 

「戦争とは、『情報戦』『経済戦』『実戦』の3つである」

続く第10の原理が「戦争とは、情報戦、経済戦、実戦の3つである」。武士道の伝統を持つ日本は、戦争と言えば、武器を持って戦う戦闘という先入観がある。その「実戦」の前に、相手を周囲から孤立させる「情報戦」、相手の経済力を弱める「経済戦」がある。孫子を生んだ中国人は「戦わずして勝つ」ことを目指す「情報戦」が得意である。

北野氏は、先の大戦での我が国の敗戦は、日本が孤立してアメリカ、イギリス、中国、ソ連と戦った点にあるとして、その起点を1932年11月、「満洲国問題」を検討する「国際連盟理事会」に求める。

この理事会で中国側代表は、すでに「偽書」と判明している「田中メモリアル」の有名な一節を読み上げた。1927年に当時の田中義一首相が天皇陛下に上奏した、とする偽文書である。

シナを制服せんと欲せば、先ず満蒙を征せざるべからず。世界を制服せんと欲せば、必ず先ずシナを制服せざるべからず。

このプロパガンダが奏功して、翌1933年2月の国際連盟総会では満洲国建設の是非に関する採決が行われ、42カ国が反対、賛成は日本だけ。激怒した日本は国際連盟を脱退した。この後、日本は中国全土で「日貨排斥」という経済戦争を仕掛けられる。

現代中国の仕掛ける「南京大虐殺」「日本軍国主義」「靖国参拝」「魚釣諸島」など対日批判は「情報戦」であり、日本企業をターゲットにした暴動やキーマテリアルの対日禁輸は「経済戦」である。戦前も戦後も中国のやる事は変わらない。「戦争はもう始まっている」と北野氏は指摘する。

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