もう一つ、上がり湯をする人が挙げる理由に「不特定多数の人が入ったあときれいな湯で体を洗い流したい」というものがある。 これは理解できる。
ただ、この理由を解決する上手な方法がある。 要するにきれいな湯であればいいわけだから、浴槽に注ぎ込まれている湯口の湯を桶に汲んで、その新鮮な温泉で上がり湯をすればいいのである。
湯口の湯は源泉そのままで熱い場合もあるから、お風呂を上がる前に湯口の湯を桶に汲んで冷ましておき、その湯をかけて上がるのもいい。
源泉かけ流しの場合なら、もっとも酸化していない、最高にフレッシュな湯をかけて上がれるわけだ。 この方法は、まさにいいこと尽くめである。
ただし、硫黄泉や酸性泉などは刺激が強すぎる場合もあり、肌の弱い人などは上がり湯をしないと、かえって肌荒れやただれを起こしてしまうことがある。
現に僕も先日秋田県玉川温泉の源泉浴槽に浸かったあとは、経験的なカンで上がり湯をしないとまずいな、と思って真湯をかけて上がってきた。
この経験的なカンというのは案外簡単なもので、浴槽から上がっても肌がヒリヒリと痛む場合、湯上がり後に肌が赤くなって痛がゆい場合などは、真湯での上がり湯をお薦めしたい。 おおむねこのような場合は、脇の下や、股間の鼠蹊部(ももの付け根あたり)、男性であれば睾丸のウラなどが、ヒリヒリとすることが多いので、目安にしていただければと思う。
さらに1カ所で複数の泉質の湯を持つところでは、酸性泉のあとに塩化物泉に入浴することで、強い酸性成分を塩化物泉が洗い流してくれるという場合もある。 このあたりのことは、温泉ソムリエ協会の遠間家元のメルマガで、非常に詳しく解説されているので、そちらを参照していただきたい。
「温泉ソムリエのメルマガ」(無料です)
こうしたことも、温泉ソムリエの講座を受講すればみんな教えてくれる。
僕は資格マニアではないのだけども、温泉ソムリエアンバサダーのほかにも温泉入浴指導員、高齢者入浴アドバイザー、温泉観光士などの肩書きもある。
このうち最初にとったのが温泉ソムリエの資格である。 これが、温泉の知識をよりいっそう深めて、その後の資格取得につながったことは確かだ。
image by: Shutterstock