一級国と二級国に分ける差別宣言を採択? 岐路に立つEUの未来

 

EUは1952年に西独仏など6カ国が石炭鉄鋼共同体を創設したことからスタートした。その後欧州経済共同体を設立し、東西冷戦が終結した93年に人、モノ、資本、サービスの移動の自由化を内容とするEUが発足。現在は旧ソ連圏の東欧も入れた27カ国で構成している。

一時は、「ヨーロッパ合衆国」として経済、単一通貨(ユーロ)、安全保障、文化などで大きな存在感を示した。

しかしギリシャなど財政難の国が次々と出現したことよりほころびが目立ち、特に中東から難民が押し寄せてきたことから各国でテロや社会暴動が頻発。さらに2016年にイギリスがEU離脱を決めたこともあって反移民、反EUエリート、自国第一主義のポピュリズム(大衆迎合)と右派勢力が結びついてEUの分断化が深刻となってきた。

EUはもともと国民国家の壁を無くし、ヨーロッパ内で人や資本などの移動の自由を掲げて出来上がった壮大な実験だった。その結果、5億人の共通市場と新しい欧州文化を作りつつあるかに見えた。しかし21世紀に入って急速に進んだグローバリズムによる富裕層と貧困層の二極化や中東の内戦から流入した数百万人に上る難民や移民によってEUの理想は一挙に危機に瀕しているのが実情だ。

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