品質に問題はないものの、形が崩れていたり、切り落としてしまう端の部分など、本来ならばロスとなってしまう部分を集めて売る「訳あり商品」。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが紹介しているのは、そんな訳あり商品を逆手に取り成功したとある個人商店です。さらに佐藤さんは、小さな商店の弱点を簡単に克服できる「互助システム」についても記してくださっています。
「訳あり商品」を作れ!
「カステラの端」「肉の切り落とし」「割れたチョコレート」「傷のついた家具」「パッケージの汚れた商品」……。
モノを売る仕事をしていると、商品のロスは必ず出てきます。それを「訳あり商品」として、安く販売しているお店もたくさんあります。廃棄は損失なので、少しでも利益を回収するためです。
不況が続く中、賢い消費者が増え、喜んで「訳あり商品」を買ってくれます。しかし、継続的に販売できるものではないので、たまたま訪れたお客さまだけが、手に入れることができます。
そんな「訳あり商品」で大人気の煎餅屋さんがあります。正規では売れない割れた煎餅を袋に詰め、安く売り出したところ、すぐに売り切れてしまい、お客さまから残念がる声を多く聞くようになりました。出す度にすぐ売れ切れる状態が続いたので、店主は考えました。
「お客さまが喜ぶのなら、煎餅を割って売ろう」。わざと割った煎餅を安く売るようにしたのです。
「それでは儲けが少なくなるのでは?」という心配は無用です。自宅用に求めるお客さまは、「訳あり商品」を買いますが、その美味しさを知っているので、贈答用もこのお店で買ってくれるようになったのです。
「訳あり商品」が、ただの処分品ではなく、集客の目玉となり、なおかつ薄利多売ながらも収益の柱となっているのです。
「弱点」は、異業種の手を借りろ!
「街の宅配屋さん」というシステムをご存知でしょうか? 飲食店・個人商店の商品を酒屋さんのような宅配システムを持っているお店が、代わりに配達するシステムのことです。神戸を中心に、京阪神で拡大しつつあります。
宅配を始めたかったお店が、このシステムを導入することで、初期費用が掛からず、さらに宅配を維持するためのランニングコストも不要になります。宅配の手数料を払うだけで、売り上げをアップすることができるのです。
宅配を代行するお店は、手数料が入ってくる上、お店のPR機会を増やすことができます。どちらにもメリットのあるシステムなのです。
こうした「互助」の考え方は、競争の厳しい社会においては、小さなお店に不可欠となってくるのではないかと思います。
何でも揃う量販店やショッピングモールが増えているので、小さなお店は「弱点」ばかりになってしまいます。
弱点を自分だけで克服するのは容易ではありません。自店の弱点を補ってくれるお店に、手を貸してもらいましょう。互いにメリットのあることなら、相手も不安を抱えているので、きっと仲間になれるはずです。
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