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気分はファーストクラス。高級カプセルホテルという型破りな戦略

カプセルホテルやビジネスホテルといえば男性客だらけのイメージが強いものですが、そんな常識を覆すホテルが話題となっています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、女性客の取り込みに成功し人気を博す「ファーストキャビン」の戦略・戦術に迫ります。

新しい選択肢の提供

飛行機のファーストクラスをイメージした人気のコンパクトホテルを展開している企業を分析します。

ファーストキャビン(高級カプセルホテル) 

戦略ショートストーリー

快適な場所に泊まりたいが、宿泊にお金はあまりかけたくない方をターゲットに「リーズナブル」「快適」「安心」などの強みで差別化しています。

既存のカプセルホテルよりも設備やアメニティなどを充実させ、価格帯も既存のカプセルホテルとビジネスホテルの間にする事で顧客の支持を得ています。

分析のポイント

新しい選択肢の提供

ファーストキャビンの特徴として、出店時の初期投資を抑えられることが上げられます。

既存のオフィスビルや商業施設などでもコンテナ型のキャビンを設置し並べるだけでホテルになりますので、大幅に設備投資を抑えることができるようです。

ビジネスホテルなどは、法律上、客室に窓や水回りが必要となりますが、カプセルホテルは簡易宿所という位置づけとなりますので、そういった設備が不要であるというルールをうまく利用しています。

また、キャビンのパーツはエレベーターで運べるように設計されているようですので、容易に設置できるようです。

既存の建物を活用できるということは、用地取得などが必要となる新築よりは工期も短縮できますので通常のホテルの開業と比べて、短期間での開業も可能となります。

このように、「低コスト」「短期開業」「ハコを選ばない」ということが、ファーストキャビンが鉄道会社などにも評価されている要因といえるでしょう。

ちなみに羽田ターミナル1店は、JALの従業員の施設跡に出店したそうです。

そして、重要なポイントとなるのが、女性客の取り込みに成功したということです。

既存のカプセルホテルは男性専用のところが多いようですし、女性客を取り込めていません。というかターゲットにしていません

「宿泊にお金はあまりかけたくない」というニーズは男女にあると思いますが、男性のニーズに応えるカプセルホテルはあっても女性のニーズに応えるホテルがなかったわけです。

その中で、ファーストキャビンは、既存のカプセルホテルのイメージ(男性専用、カプセル型ベッドが2段に積まれているなど)を覆し、女性客を取り込んでいます。

要するに、いままで業界として応えられていなかった女性の「宿泊にお金はあまりかけたくない」というニーズに応えたということであり、これは「新しい選択肢を提供」したということでもあります。

これに加えて、「快適」「安心」という価値を提供できたことが、ファーストキャビンが市場を開拓し地位を確立できた要因の一つであると言えます。

また、女性客に評価されていることも、鉄道会社との提携を後押ししたと思われます。やはり、駅直結の商業施設などには、男性専用のカプセルホテルよりはよりラグジュアリーなファーストキャビンが望ましいですからね。

京福電鉄も嵐山駅直結の商業施設にファーストキャビンを開業することを発表していますが、大部分を女性フロアにするようです。

予約状況に応じて女性フロアを増やしたりできる店舗もあるようですし、女性客を受け入れるために柔軟な運営ができる店舗も増えていくことが予想されます。

そして、鉄道会社との提携などにより、駅直結で便利」ということも「強み」になっていくでしょう。

今後のファーストキャビンの成長に注目していきたいです。

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

1.リーズナブル(ビジネスホテルと比べて)

2.快適(既存のカプセルホテルと比べて)

3.安心(既存のカプセルホテルと比べて)

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

建築のノウハウと提携ネットワーク

上記のような「ノウハウ」と「ネットワーク」が強みを支えています。

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物

「コンパクトホテル(高級カプセルホテル)」

※店舗によっては、最上位のプレミアムクラスキャビンもあります

■売り値

宿泊料金(税込)

■売り方

■売り場

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: 『FIRST CABIN』公式ホームページ

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【著者】 青山烈士 【発行周期】 ほぼ 週刊

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