だれしも自分の長所を見てくれる人に対しては、「いい人だ」「良い友達だ」と思いますし、「付き合いたい」と思うことでしょう。ところが、他人の欠点ばかりをあげつらってくる人に対しては、自然とその人からは足が遠のいてしまいます。
優等生と見える子にも落とし穴があります。先生から見ると、成績スポーツともに優秀で性格も良く、先生の手足となって助けてくれ、学級委員として活躍してくれる女子生徒が、意外にも女子仲間から仲間外れにされ、イジメを受けていることがあるのです。
頭の良い子は細かいことがよく目につき、同時に他人のアラや欠点がよく見えるようになるのですが、クラスをまとめようとして、さらっと言ってしまった言葉で相手が傷つき、人間としては嫌われることもあります。そういった頭の良い子には、「あなたにも間違ったり、失敗したりすることがあります。相手も同じです。お互いに許したり、受け入れたりすることが、人間として尊いことなのです」ということを教え、人間としての「徳」を教育していくことです。
将来のリーダーには、「自分のことよりも、より多くの他人の幸福のために考えをめぐらす人こそが徳ある人なのだ、人間として大きな器なのだ」、ということを教えましょう。いつの日か、日本や世界のリーダーになる人物かもしれません。
※ 注
「ソーシャル・インクルージョン教育」は、教育段階において、障がいを持った子供が大半の時間を通常学級で学ぶ教育。「社会の構成員として包み支え合う」という理念のもとで、障がいのある子もない子も同じ場で学ぶ教育。
スクールソーシャルワーカー 村崎京子
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