株価もパニック。米アマゾンの1.5兆円買収劇に見え隠れする野望

 

生鮮食料品のオンライン販売ビジネスに関しては、ウェブバンの失敗もあり(2001年に倒産)、後に誰も続く状況もなく、アマゾンとしても、焦って全国展開をする必要もないと考えていたのだと思います。

さらに、生鮮食品特有の調達や流通の難しさや、実店舗の重要さを考えると、アマゾンフレッシュという今の形のままでは全国展開しても、ビジネスとして成功させることは難しい、と考えていたのだと思います。

そして、生鮮食料品の市場に本気で乗り出すのであれば、全国に実店舗を持つことは必須であり、その調達・流通のネットワークを使って生鮮食料品のオンライン販売をするべきだ、という結論に達していたのだと思います。

そのロジックに立脚した上で、「どこを買収すべきか」を考えてみると、ホールフーズというのはもっとも納得できる選択肢です。オーガニック食品を売る高級スーパーとしてのホールフーズブランドは、パートナーとして申し分ないし、アマゾンプライムのメンバーとの親和性もとても良いのです(ホールフーズで買い物をする人たちとの相関関係はとても強いと思います)。

一部の記者は、この買収を「ウォルマートに対抗するため」「アマゾンが小売業に進出する第一歩」などと書いていますが、それは大きな間違いです。

アマゾンにとっては、「オンラインか小売か」などはどうでも良いことで、とにかく世界中のあらゆるものの流通に関わり、世界中の人々にとってなくてはならないサービスを提供することが何よりも重要なのです。

生鮮食料品という、非常に重要なものの流通には、小売店舗を持たなければ関わることが出来ないからホールフーズを買収しただけのことで、小売店舗を持つことそのものが目的ではないのです。

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