小池ファーストに翻弄される「都議選」の真の争点を読み解く

 

では、この「都民ファースト」というのは、「都市型の小さな政府論」ということでは、大阪の維新にも似ているわけです。また、現在は民進党を構成している「旧みんな」にも似ています。では、この3者、つまり、都民ファースト、大阪維新、旧みんなというのは、どこが違うのでしょうか?

  • 大阪維新:地方行政の人件費カットが中心。府市労組に敵対
  • 旧みんな:国レベルの行革推進、官公労に敵対
  • 都民ファースト:地方行政のハコモノ敵視が中心。「ドン」に敵対

実はこのように、明らかな相違があるわけです。橋下徹氏の敵は府市労組だったので、過剰なまでに右派ポピュリズムに訴えたわけですし、その点で小池知事の敵はハコモノにカネを使うドン的なるもの」であるために、少し違うわけです。

こうした「都市型の小さな政府論」というのは、昔はなかったわけです。70年代から80年代ぐらいまでは、いわゆる「革新知事」などというのが流行した時代もあったぐらいです。

この「革新知事」ブームというのは、社会が平和主義だったからとか、環境問題に敏感だったから起きたのでは「ありません」。そうではなくて、都市部の納税者が「税金のバラマキの対象として、供給側ばかりというのはおかしい」のであって「自分たちにもバラまいて欲しい」と考えた中から出てきた現象です。

それが、ある時点になると、「バラマキのニーズ」が弱くなって、一時期には東京も大阪も芸能人知事が生まれたりしました。あれは一種の過渡期的現象と言っていいでしょう。そして、現在は反バラマキ」ということになったわけです。ちなみに、名古屋の河村市政なども「都市型の小さな政府論」のバリエーションということが言えそうです。

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