長々と麻雀というゲームについて解説したのは、実はこれって「あなた対社会」という構図でも同じだからです。特に会社では、あなたの競合、競争相手は「その他大勢」じゃないんです。
順番に説明すると、出世しない人というのは自分の給料、自分の地位、ポジション、自分の権限、自分の責任範囲にしか意識が向きません。私という存在をケアすることで手一杯になっていて、周りの風景というか他の人が目に入らないんですね。
これが「自分の所属する部門対他の部門」という目線が出来るとちょっとレベルが上がってくるわけですよ。営業の人なら、マーケティング部の動きとか、サポート部門の動向とかが視野に入ってくるとチームリーダー(係長レベル)に近づいたといえるわけです。
これがさらに細分化されて、同じマーケティング部のAさんとBさんの違い、誰がどういう仕事をしているのか、誰が優秀で誰がそうでないかということが見えて来ると課長レベルなんですよね。
そして仕事上で自分と競う関係にある人が明確になって、その人との差がリアルに識別出来るようになると、出世のドアが一枚開いたと言えるんです。そういう識別が出来ないと、「どうやって競争に勝つのか」という戦略が立てられないですから。仕事って、一所懸命やれば成果が出るわけじゃないんですから。どうやったら成果が出るのかを一所懸命考えるのが仕事なんですから。
その成果は出世においては他者との比較で勝ち負けが決まるわけで、であれば自分の比較対象が誰で、その人はいまどういう状態なのかを知らなければ、どうやったら勝てるのかなんて分かるわけないんです。
出世する事がゴールでもなんでもないんですよ。これは思考術の話をしているのであって、何かのゴールや目標を設定したら、特にそれが人間同士の競争であるのなら、相手との差分を細かく測定する目が必要なんだという話をしているんです。そういうのを客観視というのですが、これを持つと人生を戦略的に生きられるんですよ。
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