9月3日午後の北朝鮮の水爆実験により、再び緊張度を増した朝鮮半島情勢。一部では武力衝突の可能性も囁かれていますが、第二次朝鮮戦争が勃発した場合、日本、そして東アジアはどのような状況に陥ってしまうのでしょうか。「2015年に可決した安保関連法は、朝鮮半島有事を前提にした法案」と言い切る高城剛さんは自身のメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』で、国内外で起こりうる様々な事態を大胆に予測しています。
自衛隊は前線へ。朝鮮半島有事で起こりうる「想定外」
今週は、多くの方々からご質問を頂戴しております、もし、朝鮮半島で戦争が起きたら、どのようなことが予測されるのかにつきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。
本メールマガジンでも何度もお話ししておりますように、一昨年可決した安保関連法は、朝鮮半島有事を前提にした法案です。ここで改めて、前回の朝鮮戦争を振り返ってみましょう。
1948年に成立したばかりの朝鮮民族の分断国家である大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、1950年6月に北朝鮮が国境線と化していた38度線を越えて韓国に侵攻したことによって、朝鮮戦争が勃発しました。
この戦争は、朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国のみならず、東西冷戦の文脈の中で西側自由主義陣営諸国を中心とした国連軍(事実上、米軍)と、1949年に建国された成立間もない中華人民共和国が交戦勢力として参戦し、3年間に及ぶ戦争は朝鮮半島全土を戦場と化した後に荒廃させました。
1953年7月に国連軍と中朝連合軍は朝鮮戦争休戦協定に署名し休戦に至りましが、北緯38度線付近の休戦時の前線が軍事境界線として認識され、朝鮮半島は北部の朝鮮民主主義人民共和国と南部の大韓民国の南北二国に分断されました。これは終戦ではなく休戦状態であるため、現在も戦時中となります。
この朝鮮戦争以降今日まで、日本の主要米軍基地(横田、横須賀、厚木、佐世保、嘉手納、三沢等)は、半島有事のための前線基地として存在します。いまも巨大基地が日本にある大きな理由は、米軍の朝鮮半島侵攻時の失敗と中国へのトラウマにあります。
当時、米軍は朝鮮戦争開戦から1ヶ月あまりで、朝鮮半島南端の釜山まで追い詰められ敗戦直前でした。しかし、日本の主要米軍基地の強力なバックアップがあったため、中国国境近くまで押し戻すことに成功(仁川上陸作戦)。ですが、前述したように、中国軍が参戦したことにより、38度線まで再び押し戻され現在に至ります。このような経緯から、在日韓米軍と北朝鮮と中国は、今日までずっと緊張関係が続いているのです。
当時、まだ占領下だった日本は、米軍基地に配備するための警察予備隊の創設を強いられ、これがのちの自衛隊になります。さらに軍事物質の輸送、武器、車両の調達により、朝鮮戦争特需=戦争バブルが日本に巻き起こりました。
さて、再び朝鮮半島で戦争が起きると、同じように戦争バブルが起きるのでしょうか?
前回と同じように、武器の調達関連企業は、大きく潤う可能性がありますが、これも本メールマガジンで何度もお伝えしておりますように、すでに、国内の武器商社は、昨今の東アジア全般の緊張関係により大きな利益を上げています。
また、日本国内では大きく報じられることはありませんが、「日米指揮権密約」が米国公文書で明らかになっており、それによれば「有事には、自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」ことになっており、2015年の安保関連法の制定によって、「自衛隊の活動は国内だけ」の制限もなくなっていることから、前線に送られることも想定されます。
一方、日本国内の韓国籍および兵役義務を果たしていない帰化人は、財産の強制没収になる可能性が高くあります。近年、日本で財を成した実業家の多くが、他国へと転出した理由のひとつが、ここにあるという「事情通」もいますが、定かではありません。しかし、平時ではなくなりますので、なにが起きても不思議ではありません。
いままで何度もお話して参りましたように、世界で大きな緊張があるのは、中東、東欧、東アジアの三地域ですが、不思議と、この三地域の緊張が持ちまわっています。
9月9日は、北朝鮮の建国記念日です。国威発揚に注視する必要があります。