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【朝鮮半島危機】金正恩氏暗殺も? 北朝鮮に残された3つの選択肢

にらみ合いが続く北朝鮮と韓国。北朝鮮の潜水艇数十隻が基地を出たと報道されるなど、両国間の緊張が高まっています。高官同士の会談も続けられているとのことですが、平和的解決は観られるのでしょうか。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんが今後起こりうる3つのシナリオを紹介しています。

またも北朝鮮の瀬戸際戦略

北朝鮮が、瀬戸際戦略を繰り出してきた。しかし、世界は北朝鮮の瀬戸際戦略に慣れてきている。このため、今までのようにはうまくいかない。さあ、どうなるのであろうか? 検討したい。

今回の事件

南北国境地帯では今月4日、北朝鮮軍兵士が国境を越えて埋めたとされる地雷により、韓国軍兵士2人が重傷を負っている。韓国側はこの事件を受け、国境地帯に設置したスピーカーによるプロパガンダ放送を11年ぶりに再開した。

この放送をやめさせるために、韓国国防部(防衛省)の発表によると、京畿道漣川(ヨンチョン)の西部戦線で、20日午後3時53分ごろ、北朝鮮軍が撃った14.5mm高射砲の砲弾1発が山中に着弾した。さらに19分後の4時12分、76.2mm直射砲により非武装地帯(DMZ)の軍事境界線南側に数発砲撃が加えられた。

これに対して、韓国軍も午後5時過ぎに軍事境界線から北へ500メートルの地点に、155mm自走砲で数十発応射した。

北朝鮮は同日、48時間以内にプロパガンダ放送を中止しなければ、「軍事行動を開始する」とする書簡を韓国側に送るとともに、金正恩第1書記は20日午後、軍と党の高位関係者らを招集して中央軍事委員会非常拡大会議を開いた後、「21日午後5時を期して『火の作戦』に入れるよう完全武装した戦時状態に転換する」と指示した。

これに対して、朴槿恵(パク・クネ)大統領が21日午後、西部戦線を担当する第3軍司令部を訪問して北朝鮮軍の動向と韓国軍の対備態勢を点検した。朴大統領は「軍は北朝鮮の追加挑発に対して一寸の隙もない即刻対応態勢を維持し、状況が発生した時は『先に措置、後で報告』するようお願いしたい」と指示した。

瀬戸際戦略を韓国は知り尽くしているので、瀬戸際戦略には強硬手段しかないことを、この十年間で勉強している。このため、そう簡単に北朝鮮の脅しで引き下がらない。

デンプシー米統合参謀本部議長は21日午後(日本時間22日午前)、南北朝鮮の緊張の高まりを受けて韓国軍の崔潤喜合同参謀本部議長に電話し、韓国防衛への米国の揺るぎない義務を確認した。

朝鮮半島の緊張状態を解決するため、北朝鮮が提案した南北当局による高官協議が22日午後6時半から23日午前4時15分まで、南北軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で行われた。双方は最終合意に至らず、23日午後3時に協議を再開することにした。青瓦台(大統領府)の閔庚旭(ミン・ギョンウク)報道官が明らかにした。

韓国サイドは、地雷を埋めた北朝鮮の責任を追及し、北朝鮮サイドは、地雷を韓国が埋めて自作自演であり、それによりプロパガンダ放送を始めることは許さない。即座に放送を中止しろということで、双方の主張は平行線であったようである。

このため、双方は最終合意に至らず、23日午後3時に協議を再開することにしたという。

韓国は、今回、そう簡単には折れないし、戦争に持ち込むと脅されたら、戦争をすると答えることになる。それには理由がある。

北朝鮮も折れることはできない。金正恩第1書記が国家指導者として失格であることを証明されてしまう。本当はそうであるが。

北朝鮮の思惑

北朝鮮の瀬戸際戦術には、米国も当初、騙されていたし、韓国は多額の援助を北朝鮮にして、開城市に南北共同の工業団地「開城工業地区」も作り、北朝鮮体制の維持を支援してきた。併合すると北朝鮮の統合費用が体制維持の費用に比べて大きいことで、そうしていた。

しかし、この支援を逆手に取って、北朝鮮は開城工業地区を閉鎖すると脅すなど、韓国の好意を蔑ろにしてきた。

そして、開城工業地区を作った北朝鮮側責任者である崔英建副首相が処刑されたと最近報じられた。崔氏の粛清は、疲弊した北朝鮮経済の再生に金正恩氏がどんな手を持ち得るのかを探る上で特に興味深いと言えるが、経済通とされた崔氏は2000年代半ば、韓国との南北経済対話で北側の代表として名を挙げた人物だ。

最初、金正恩第1書記は、日本からの支援を求めて北朝鮮の日本人調査を行い、1人1億円で支援を得ようとしたが、肝心の拉致被害者のほとんどを殺害したことで、日本からの拉致被害者を優先という要求を叶えることができずに、援助金が出ないことになった。

また、中国にも援助をお願いするも張成沢を処刑して、中国との外交・交易の関係者を多数処刑したことで、中国が北朝鮮を見限った

このため、金正恩第1書記は、ロシアに近づいたが、ここでも援助を引き出すことはできず、ロシアとの交渉をしていた玄永哲人民武力相を処刑した。このため、ロシアからも援助を引き出すことができずにいる。

しかし、そろそろ、金正恩第1書記も金正日の蓄えた資金が尽きてきたことで、国内リーダークラスへの報奨金がなくなり、体制維持が難しくなっている。このため、暗殺事件が多発してきた。

ということで、またまた韓国から援助金を出させようとしている。ここで、またもや瀬戸際戦略を用いてきたのである。

しかし、その瀬戸際戦術も効かない。それに対応した米韓連合軍の「5027作戦計画」ができているので、韓国の朴槿恵大統領も強気で押せることになる。北朝鮮を1日で崩壊できる作戦ができ、そのために、デンプシー米統合参謀本部議長は、現在行っている米韓合同演習をそのまま、実戦に転換するとし、かつ強力な軍団を配備したのである。

また、朴槿恵大統領は、中国との関係も良好であり、北朝鮮が韓国に戦争を仕掛けても、中国が北朝鮮の味方になることはないようにしている。中国とも綿密な連絡を取っている。

このため、北朝鮮は、簡単には戦争を始めることができない。瀬戸際で止めて、外交交渉をするしかないが、その瀬戸際度が足りなくて、満足な結果を得られないことになる。

北朝鮮の選択

ということで、戦争に無理やり入り、数日で北朝鮮崩壊となる可能性が高い。これは北朝鮮サイドでもわかっている。

もう1つが、戦争手前で、金正恩第1書記を暗殺して、中国の金正男を新リーダーにする方法であるが、北朝鮮に中国の息がかかった指導層がいるかどうかでしょうね。

もう1つが、金正恩第1書記が自分で政権を降りることで、妹に政権を渡して妹は集団指導体制にすることであろうか?

といろいろな選択があるが、ベストの解は、両方に名分は立つ解決策を見出すことが必要でしょうね。

混乱がないことで、多くの人が死なないことになる。韓国も併合になると多大な費用がかかることになる。

さあ、どうなりますか?

数日で分かることになる。

image by: Shutterstock

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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