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不正発覚の「東芝夏祭り」で、業界の勢力図はどう変わるの?

現役の公認会計士が、業界のリアルな情報を超辛口で伝える『六本木の公認会計士いきぬき(生き抜き)』。最新号によると今夏の公認会計士業界は、例の「東芝問題」で持ち切りだったようで……。大手監査法人の勢力図にも微妙に影響が出るのではと、著者のJoJoの奇妙な公認会計士さんは指摘しています。

東芝問題の帰結について

8月1週目には第三者委員会がとりまとめた報告書を引き合いに、不適切会計の手口を共有してみました。

よく報じられている工事進行基準を用いた損失先送りのほかにも、FOB価格や未実現利益を使った手口にも焦点を当てて、日頃の実務に活かしてほしいものです。むしろ、積極的に話題を振り「こいつはよく勉強しているなぁ」と偉い人に思わせることに成功したでしょうか。

こういうのが監査法人内で出世するコツですよ。

続いて、業界内で俄かに盛り上がる「東芝夏祭り」の様子と、世論の動向、僭越ながら協会レビューを初めとする今後についての個人的な予想を書きました。

まずはガバナンス面の議論でいえば、超大企業で発覚した不適切会計のニュース性は大きく今後の実務に影響を及ぼしましょう。

その影響予想として、期待を込めて「監査制度の問題点に迫れるか」と題し、レッドカードどころかイエローカードを出すことも禁じられた審判となっている監査実務の問題に焦点が当たるといいなぁー……という願望に触れました。

しかし、その後のニュースやお話を聞いている限り、今回もそこまでの議論に至るというのは期待薄でしょうか。

ところで、先日のブログにも書いた通り監査法人のローテーションの議論が出てきました。以前から学者から出てきても黙殺されてきた既得権に厳しい議論です。

ご存じのとおり、監査法人内での業務執行社員のローテーション制度も結局の所は同一部門内の社員間での持ち回りになる程度に実施されており、制度趣旨は骨抜きです。

大手監査法人ではいいですが、中堅以下では上場会社のメイン・クライアントが5年で取り上げられたら経営が安定せずに監査法人として成り立たなくなるでしょうね。

次に、会計士業界の勢力図について言及すれば、新日に失点1、トーマツに得点1、あずさに得点0.5といったイメージかと思います。

会計監査人であった新日本のブランド毀損、トーマツの調査業務の実績アップ、そしてあずさは今後の総合的なコンサルティング業務への関与。

新人リクルートへの影響もあるでしょう。

image by: Shutterstock

 

『六本木の公認会計士いきぬき(生き抜き)』
著者/JoJoの奇妙な公認会計士
事業会社、ベンチャー企業を経て大手監査法人へ。採用担当やIPO担当、大企業の主査業務を経験後にアドバイザリーチームに移籍。さまざまな業界とつながりを持つ著者のメルマガは具体的ですぐに使えるビジネスヒントに満ち溢れている。
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