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泣けるほど美しい。京の名所「奥嵯峨」で紅葉を楽しむ旅

前回の記事『今年も古都が紅に。写真家がそっと訪れる、京都の紅葉名所の穴場』では、知る人ぞ知る古都の紅葉スポットの穴場を教えてくださった、無料メルマガ『おもしろい京都案内』の著者・英学(はなぶさ がく)さん。今回は紅葉の名所が密集するという「奥嵯峨」の中でも特に英さんおすすめの4か所を紹介しています。

京都紅葉案内・奥嵯峨

今回は紅葉の名所「奥嵯峨」です。京都の紅葉でエリア別ではこの場所ほど紅葉の名所が密集しているところはないでしょう。数え上げたらきりがないのですが、今回は4ヶ所だけご案内します。

常寂光寺(じょうじゃくこうじ)

image by: 京都フリー写真素材

山門から拝観受付を通り、頭上にさしかかる紅葉は圧巻です。そのまま仁王門をくぐり本堂に向けて急な石段が続きます。石段を登りきり上から見下ろす景色には色とりどりの紅葉と茅葺きの仁王門がとても絵になります。この仁王門は本圀寺(現在は山科にある)から移したものと伝えられています。

石段を上りきると多宝塔があります。この場合からは嵯峨野の赤く染まった景色を眼下に見ることが出来ます。多宝塔は檜皮葺の屋根の上に長い相輪がそびえ立つバランスの取れた建物で、見物客に安らぎを与えるかのようです。江戸時代初期、1620年に建立された多宝塔は国の重要文化財に指定されているので一見の価値があります。

常寂光寺は、1596年に本圀寺の日禛(にっしん)という僧侶が開創した日蓮宗の寺院です。本堂は伏見城の一部を利用して建てられたもので、十界大曼茶羅が本尊として祀られています。

境内の奥まった場所に「時雨亭跡」の石碑が建っています。時雨亭は、藤原定家の山荘でこの場合で百人一首を編んだといわれています。小倉山に建つこの場合で百人一首が選ばれたことから小倉百人一首と言われています。定家は鎌倉時代初期、公家の家系に生まれ歌人として名を残し、現在でもその子孫が冷泉家として今出川に暮らしています。

◯アクセス

二尊院

image by: 京都フリー写真素材

紅葉の美しい嵯峨・嵐山エリアでもイチオシなのが二尊院です。中でも二尊院の表参道とも言える「紅葉の馬場」の両脇に広がる紅葉は絶景です。紅葉の馬場は総門から真っ直ぐに伸びる参道で、この場所の紅葉は癒しよりも迫力を感じます。

すぐ近くの常寂光寺がある小倉山の麓の広い敷地に境内が広がっているのですが、この場合一帯も紅葉に包まれています。本堂の向かいに建つ唐門や白壁とのコントラストがとても美しく映えます。

二尊院の本尊は釈迦如来と阿弥陀如来です。二尊を本堂にお祀りしているとても珍しい寺院で、そのことが名前の由来になっています。平安時代、841年に嵯峨天皇の勅願により慈覚大師が建立した天台宗の寺院です。その後は長い間荒れたままになっていましたが、本堂は応仁の後に唐門とともに再建され、現在は京都市指定文化財となっています。

二尊院の本堂裏の小高い山は小倉山です。

小倉山 峯のもみじ葉 心あらば 今一度の 御幸またまん

と詠まれ、この辺りは古来より紅葉の名所として有名でした。保津川の水運の発展や高瀬川の開削に貢献した角倉了以や俳優・坂東妻三郎やその息子・田村家の墓はこの二尊院にあります。

◯アクセス

愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)

11月になると市内中心部より早くに、愛宕念仏寺の建つ奥嵯峨の木々が赤や黄に染まります。庶民の手によって彫られた1,200体もの苔むした羅漢さんが紅葉に包まれる景色には温かみを感じます。

また、鎌倉時代に建てられた本堂や、火伏せの地蔵堂なども紅葉の下で静かな佇まいを見せ、この時期の参拝客を癒してくれています。本堂は入母屋造(いりもやづくり)の建物で本尊は千手観音像が祀られています。地蔵堂には火伏せの神が祀られています。火伏せの神は愛宕山の本地仏で、平安時代初期に作られた火除地蔵菩薩坐像が祀られています。

1,200体にも及ぶ羅漢の石像は参拝者によって彫られたものです。愛宕念仏寺の境内には様々な表情の羅漢さんが並んでいて、和やかな雰囲気を醸し出しています。

愛宕念仏寺の創建は古く、奈良時代後期に称徳天皇によって建てられた愛宕寺が始まりとされています。現在東山区にある建仁寺の少し南にあったようです。

◯アクセス

化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)

image by: 京都フリー写真素材

この世に賽の河原を再現したかのような境内に色とりどりの紅葉に包まれます。境内には所狭しと数え切れないほどの石仏、石塔が安置されています。

小倉山の裾野である化野は古くからの葬送の地でした。京都の東の鳥辺野(とりべの)、北の蓮台野(れんだいの)と並ぶ埋葬地で、三無常と呼ばれています。古くは風葬の場所として、死者の霊を弔う為に無数の石仏が作られました。それが年月と共に無縁仏となり、いつしか土に埋まった状態になっていました。この死者の霊を再び弔うために五智山如来寺が創建されたのがこの寺のはじまりです。創建したのは、弘法大師空海でした。平安時代初期の頃です。風葬の地だった化野に葬られた無縁仏の霊を弔うために、寺を建てて供養したのです。

その後は、鎌倉時代に浄土宗の開祖・法然の念仏道場となって浄土宗に改められました。仏教界の偉大な二人・空海と法然ゆかりの由緒ある寺院です。

化野念仏寺では毎年8月23、24日の夏の夜に千灯供養が行われます。石仏に灯が供えられて無数のろうそくの炎が暗闇にゆらぐ景色は夏の風物詩となっています。幽玄の世界を一目見ようと沢山の参詣者でにぎわいます。

◯アクセス


嵯峨嵐山・奥嵯峨エリアはほぼ全てが紅葉の名所と言ってもいいぐらいハズレがありません。11月中旬には色づき始め見頃をむかえます。

常寂光寺 紅葉時期に嵐山に行って訪れない人はいない!

二尊院「そうだ、京都行こう!」でお馴染みの紅葉!

愛宕念仏寺 紅葉 2015年 見どころ情報

そして12月中旬は嵐山花灯路で多くの人で賑わいます。嵐山全体がライトアップされて竹林などはとても幻想的な雰囲気に包まれます。紅葉だけでなくこちらのイベントも是非一度行って見てみてください。

嵐山花灯路ホームページ

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: 京都フリー写真素材集

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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