史上最高の“蜜月アピール”に隠された、トランプの「損得勘定」

 

渦中のトランプ氏は米メディアの喧騒をよそに、世界の指導者のなかで最高のヨイショをしてくれる安倍首相が待ち受ける日本にやってきた。

就任から9カ月。トランプ大統領の支持率は36.9%。9カ月終了時点の支持率としては歴代大統領の中で最低だという。

心配性のわれわれ日本人としては、そんな窮地に陥っている大統領が、北朝鮮との戦争によって支持率回復を狙ってこないかと、不安で仕方がない。

現に、横田基地に降り立った直後、兵士たちに向けたトランプ氏のスピーチは金正恩を挑発する中身だった。

「どんな独裁者も政権も国家も、米国の決意を甘く見るべきではない。過去にときおり彼らは米国を過小評価した。それは彼らにとって愉快なことにならなかった」

最近、東南アジア諸国首脳らとの電話会談でこうも話したという。「自国の上空をミサイルが通過しているのに、なぜ撃ち落とさないのか。武士の国なのに理解できない」

これらの発言だけで判断すると、まるで日朝双方をけしかけているようだ。

「対話より圧力」のカギを握る中国への注文もトランプ流を崩さない。AFP電によると、トランプ大統領は米FOXニュースのインタビューでこう語った。

「日本は武士の国だ。私は中国にも、それ以外に聞いている皆にも言っておく。

北朝鮮とこのような事態が続くのを放置していると、日本との間で大問題を抱えることになる」

中国が原油の輸出制限にとどまらず、完全禁輸など北朝鮮がネをあげる策をとらなければ日本が武力を使うとでも言いたげだ。

ともあれ、安倍・トランプ会談は、北朝鮮に対し最大限の圧力をかけることで合意した。「最大限の圧力」とは何か。北朝鮮が我慢できなくなるスレスレの圧力だとしたら、きわめて危険度は高くなる。

戦略的忍耐の時期は終わった」とトランプ大統領。「日米は100%共にある」と安倍首相。軍事行動をやるなら、ついていきますよ。まさか、そういう意味ではないと思いたい。

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