史上最高の“蜜月アピール”に隠された、トランプの「損得勘定」

 

米国は北朝鮮や中国の脅威を利用して日本に兵器を売り込んできた。今回の首脳会談後の共同会見でも、トランプ大統領は「非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ」と本音を率直に語った。

北朝鮮の壊滅は米軍需産業にとってマイナス材料となるが、核ミサイルが米本土にまで達する恐れが出てきた現在、状況は一変している。

実際、今回の首脳会談で、トランプ氏は巨額の商取引に成功したようだ。11月6日にトランプ氏は「安倍首相との親密な関係はアメリカに大きな利益をもたらすだろう。軍備増強、エネルギーなどで」とツイートしている。

だが真に恐れるべきはトランプ氏より安倍晋三氏の底意かもしれない。安倍氏は金王朝を潰すためには軍事衝突もやむなしと考えているフシがある。トランプ氏は安倍氏の本性を見抜いているのではないだろうか。

安倍首相は巨大化してゆく中国に圧迫され、北朝鮮に核ミサイルまで持たれて、悔しくて仕方がないだろう。アジア諸国に対する大日本帝国の誇りと支配の記憶をその血脈に受け継いでいる気なのかもしれない。

中国や北朝鮮に立ち向かうために、安倍首相は憲法の解釈を恣意的に変更し、集団的自衛権の行使ができるようにしてまで、アメリカにすり寄った。経済的利益を優先し中国に注意を向けがちの米国に日米同盟の重要性をアピールするためだ。そこに登場した米国の新大統領がトランプ氏だった。

トランプ、イバンカ。この父娘を籠絡するには、彼らの自尊心を最大限、満たしてやればよいと安倍首相は高をくくっている。一方、トランプ氏も、「日米関係は今が最高だと言ってやれば安倍首相はカネを出すと、なめてかかっている面があるだろう。それが「蜜月」の実相ではないか。

トランプ氏に先んじてイバンカ氏が来訪すると、安倍首相は1日に2度も会い、高級ホテルで夕食をともにするなど、異例の厚遇ぶりをみせた。メディアは騒ぎ、「イバンカさんはきれい」と無邪気に話す街の声を拾った。米国内の雰囲気とまるで違う人々の物見高さに、ワシントン・ポストは「日本の奇妙なイバンカ・トランプへの熱狂」と記事に皮肉をこめた。

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