もしもの「失業保険」すら食い物にする、天下り利権の闇

 

雇用保険は政治家の集票アイテムになっている

なぜ日本の雇用保険が、このように役に立たないのかというと、実は、とんでもないがあるのです。というのも、雇用保険は、長期間働いた人にとっては非常に補償が薄い一方で、短期間働いてすぐ仕事を辞めた人には非常に厚い補償があるのです。「半年働けば3か月分の給料がもらえる」というような制度もあるのです。

20年間働いてもたった1年間しかもらえない、つまり加入期間の5%しか補償がないのに、半年しか働いていない人は加入期間の50%も補償されるのです。つまり、雇用保険は、長年働いた人が突然職を失ったときには、ほとんど役に立たず、半年程度働いては辞めるような職を転々とする人が得をするようにできているのです。あまりにもバランスが悪いと思いませんか?

半年しか働いてない人というのは、会社を辞めてもそうダメージはないはずです。もともと、すぐやめるタイプの働き方をしている人が多いので。なのに、なぜ「半年働けば3か月分もらえる」というような制度があると思いますか?

これは、実は農業や漁業を配慮したものなのです。農家などでは、農閑期だけ雇われ仕事をする、という人がけっこういます。そういう人たちの中には、毎年、「半年働いて3か月雇用手当をもらうという、夢のような生活を続けている人も多いのです。毎年、同じ職場で半年だけ働いて、雇用保険を毎年もらう、というような人もいるのです。これは、もはや雇用保険とは言えませんよね? 普通に補助金です。

なぜこれほど農村が優遇されているかというと、農村は、人口に比べて国会議員の議席数が多く配分されているからです。各政党は、都市部のサラリーマンに何かをしてやるより、農村を優遇した方が票に結び付きやすいのです。だから、雇用保険では「20年働いても1年分しかもらえないのに、半年働けば3か月分もらえる」というようなアンバランスな制度になっているのです。つまり、政治家が農家の機嫌を取る道具として、都会のサラリーマンがせっせと働いて積み立てた雇用保険が利用されているのです。

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