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自己資金のある人がオーバーローンを「あえて」選択している理由

住宅ローンを組む際、購入金額以上を借り入れる「オーバーローン」。一般的に頭金を用意できない人が利用するイメージが強いかと思いますが、無料メルマガ『「教養」としての不動産取引』の著者で不動産活用コンサルタントの楯岡悟朗さんによると、「あえて」オーバーローンを選択する人もいるとのこと。その理由と注意点についても詳しく解説しています。

オーバーローンってなんだ!?

たとえば5,000万の物件に対し100%5,000万以上の借り入れをすることをオーバーローンと呼びます。ただし、いくらでもオーバーできるかといったら、もちろんそんなことはありません。当然のことながら制限があります。金融機関によって基準は異なりますが、「物件価格の○○%まで」と決められています。

なぜ購入金額以上を借りる必要があるのかというと、多くは以下の3点、

  1. 諸経費
  2. リフォーム費用
  3. 買い替え

が絡んでくる問題です。ひとつずつ解説していきます。まずは1.の諸経費について。

1.諸経費

融資を受けて不動産購入をする場合、物件価格の約7~8%が諸経費としてかかります。3,000万の物件であれば約210~240万です。物件価格が高くなれば、比例して諸経費もあがっていきます。

こうした諸経費は通常、自己資金で準備することが一般的ですが、住宅ローンに組み込むことも可能です。

諸経費はあくまでも現金で

諸経費は確かに高額です。しかし、基本は本体価格100%までの借り入れを原則として考えるべきです。諸経費さえ用意できないというのは、準備不足、物件購入のタイミングではないともとれます。「諸経費を現金で用意できるかできないかをマイホームを購入するかどうかの判断材料としても良いでしょう。

ただ、「諸経費は用意できるけど、今後のために取っておきたい」「何かあったときのために運転資金として確保しておきたい」という理由で「あえて諸経費分もオーバーローンで借りるという選択はありでしょう。

2.リフォーム費用

マイホームを購入した人は、程度の差はあるものの、ほとんどの方が入居前にリフォームを行います。ハウスクリーニングとクロスの張替だけで済ます人もいれば、新築同然のように、設備をすべて取り替える人等様々です。キッチンや浴室などの水回り関連は設備自体が高額なうえに工賃がかかるので、あれもこれもと希望していたら、何百万単位で増えていきます。

こうしたリフォーム費用もオーバーローンとして借り入れることが可能です。最近はリフォームする前提で物件を探す人が増えています。

3.買い替え

売る物件が500万の売却損、新規の購入物件が4,000万だった場合、併せて4,500万のローンを組み直す計画です。購入物件に全額返済に足らなかった金額が上乗せされ100%以上の借入、オーバーローンとなります。

関連記事:そもそも「ローン支払い中」のマイホームを売ることはできるか?

まとめ

住宅ローン利用時の「オーバーローン」についての解説でしたが、いかがだったでしょうか? 物件価格以上の借り入れ可能なオーバーローンのメリットはただ一つ、「(家計の運転資金の確保」、これにつきます。

購入時に現金が減らないだけで、毎月利息が付けられて返済しなければいけないことに変わりはありません。「運転資金の確保」ができるメリットの引き換えとして、利息支払いを受け入れているのです。オーバーローン(特に諸経費)は基本、そのようにお考え下さい。

「自己資金がないから仕方なく…」であれば、安易なオーバーローンの利用は控えた方がよいでしょう。

image by: Shutterstock.com

『「教養」としての不動産取引』

『「教養」としての不動産取引』

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