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トランプ氏の弾劾裁判は、バブル崩壊のトリガーとなるのか?

トランプ米大統領とロシアとの不適切な関係を巡るいわゆる「ロシアゲート」に大きな動きが―。トランプ氏の元側近・フリン元大統領補佐官が司法取引に応じる形で自らの罪を認め、大統領の弾劾が現実味を増してきました。メルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、弾劾裁判が及ぼすさまざまな影響を考察するとともに、第2次朝鮮戦争勃発の可能性についても言及しています。

トランプ弾劾でバブル崩壊と第2次朝鮮戦争へ

フリン元大統領補佐官の証言でトランプ大統領の弾劾が近いかもしれない。しかし、それによる悪影響を考えられる。さあ、どうなるのでしょうか?

フリン元補佐官の証言

フリン前大統領補佐官が当時の駐米ロシア大使と接触したのは、娘婿のクシュナー氏の指示を受けていたからであると証言するようである。そして、モラー特別検察官が進める「ロシアゲート」を巡る捜査で罪を認めるのはフリン氏が初めてとなる。ロシアゲート事件の突破口が開かれることになる。

しかし、トランプ大統領の指示が明らかになっても、通常の罪には問われないが、議会における弾劾裁判で辞任させられる。上院で弾劾裁判を開始するが、上院議会・共和党がトランプ大統領を守れるのかが問題である。法人税減税までは上院共和党はそれでも一緒にいるが、トランプが嫌いな共和党上院議員も多い

このため、豊島逸夫氏によると、トランプ関連情勢急展開で、万が一、弾劾も視野に入るほど劇的材料が出ると12月利上げどころではなくなる可能性も絵空事ではない。日本にとっては円高リスク。私も全く想定してなかった年末のトランプ・サプライズ。このため、12月1日のNYダウは、一時350ドルほど急落している。

トランプ大統領の弾劾裁判が近くなると、その影響はいろいろなところに波及することが考えられることになる。

バブル崩壊

米国株式市場のPER(株価収益率)は22倍を超えていて明らかに買われすぎのレベルにある。企業の利益が増加しているが、この増加の原因は中国の経済成長が「一帯一路」などで7%程度に伸びているからであるが、無理な成長を行ってきたことで、企業の借入金が増えて、債券市場は急減速になってきた。このため、中国の経済成長は止まることが予想できる。

米国の企業収益も減少に転換することが予想できるが、現時点は皆が買うからとの理由で買い上げている状態である。当然バブルの状態と見える。

事実、ゴールドマンは、「株式と債券、クレジット市場の強気相場の長期化に伴い、平均的バリュエーション(評価)を示す指標が、1900年以来で最も高い水準となっており、ある時点で投資家にとって痛みに変わる条件が整いつつある」と述べている。

1900年以降ということは、1929年の大恐慌を超えたレベルということになる。いつ、バブル崩壊が起きてもおかしくない状況なのである。

日本市場のPER(株価収益率)は16倍程度であり、米国ほどには高くないが、米国市場がバブル崩壊したら、日本でも株価は暴落する。

バブル崩壊のトリガーは何かを市場も心配している状況であり、そこにトランプ弾劾裁判が始まったら、それをトリガーにバブル崩壊が起きる可能性も無視できない。政治的な混乱は市場には大きなマイナスと映ることになるからである。

しかし、市場関係者によると、トランプ大統領の役割は終わったので辞任後、マイク・ペンス大統領の方が経済的には良いという意見もある。このため、バブルが崩壊した後、株価は上昇になるようではある。

朝鮮戦争

北朝鮮が米本土に到達可能な新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)15」を完成させたことで、米国も北朝鮮に一層の制裁を加える方向であり、中国に石油供給を止めるように要求している。

それと、北朝鮮との対話を重視するティラーソン国務長官を中央情報局(CIA)のマイク・ポンペイオ長官に交代させて、より戦争に積極的な人事を行おうとしたが、それは現時点の発表ではまずいと、ホワイトハウスのサラ・サンダース大統領報道官は、ティラーソン氏は「引き続き国務省を指揮している」と述べ、また、国務省のヘザー・ナウアート報道官も、報道は「事実と異なる」と否定した。

米国のマティス国防長官も30日、北朝鮮問題への対応で外交努力は機能すると引き続き信じており、米国は国連を通じた取り組みを続けると述べた。外交交渉を指向している間は、ティラーソン国務長官の方がよいということのようである。

しかし、北朝鮮が対話を望むようになる中国の石油供給禁止などの処置ができなければ、交代する可能性が高くなるし、もう1つ、トランプ大統領の弾劾裁判が始めれば、国民の目を戦争に向けさせるために第2次朝鮮戦争に踏み切る前提での交代もありえるとみる。

報道によると、国務長官交代はジョン・ケリー大統領首席補佐官による国家安全保障担当の大幅な人事刷新の一環で、早ければ12月中か1月中に行われる見通し。ポンペイオCIA長官の後任には、共和党のトム・コットン上院議員(アーカンソー州選出)が予定されているという。弾劾裁判開始とともに戦争政権になる可能性があるということになる。

日本への影響

トランプ大統領の弾劾裁判開始になると、米国でのバブル崩壊で、日本も円高・株安になり景気も停滞することが予想できる。トランプ大統領辞任になり、ペンス大統領になるまでの間が6か月以上かかることも予想できるので、2018年は経済面では厳しくなる可能性も考えておくことである。

バブル崩壊で、世界的な景気も落ちるので、日本企業の収益も落ちることになる。日銀は再度、量的緩和を強化することになるが、国債の市場での買取量を増やそうとしても国債自体がないので無理がある。国の予算を増やして、その増分をすべて日銀直接買取にするしかないように見る。また、ETFの買取量を増やすことになる。これらは財政ファイナンスであり、円安になる。最初は円高になり、その後、国債の日銀直接買取になると超円安になるようだ。

その間に、朝鮮戦争になり核戦争になると、日本も核ミサイル攻撃を受ける可能性が出てくる。ミサイル防衛が機能することを祈るしかないが、核シェルターの設備がない日本で、この防衛網を抜けてきた核ミサイルから国民を守ることはできない。多くの犠牲者が出ないことを祈るしかない。

もし、東京に核が落ちたら、200万人以上が死ぬことになり、大幅な円安になるが、東京・大阪など大都市でない地域に落ちると円高になる可能性もある。

核ミサイルが落ちずに、通常戦争レベルでは、戦争特需が期待できるので、景気は良くなり、株価は上昇することになる。

というように、経済面では大きな景気の振れがあるので、今後の動向をきめ細かく見る必要がある。この有料版では、この動向を追いかけるので、皆さんは、この有料版メルマガを継続的に見ていただければ、良いことになる。

さあ、どうなりますか?

image by: mark reinstein / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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