甚だ疑問。「大学入試共通テスト」をドラゴン桜の指南役が斬る

 

こちらに国語の記述式問題のモデルが出ていますが、かなり難しく受験生たちがかわいそうになるくらいです。短時間で少なくない難問に立ち向かうのですから、日頃の勉強で実力をつけておくのははもちろん大切ですが、試験当日の体調や集中力によってもかなり結果が違ってくるのではないかと思います。

「大学入学共通テスト(仮称)」 記述式問題のモデル問題例 平成29年5月

でも、「思考・判断・表現」のテストが難しくなるのは当たり前です。「知識・技能」が備わっている前提で、さらにそれを使って思考・判断・表現できるかをテストするのですから。小学生のテストでも、「知識・技能」のテストより「思考力・判断力・表現力」のテストの方が難しくなります。

さらにモデル問題例1を詳しく見てみますと、読解力の大切さが改めてわかります。問1では、もとの文章を的確に読み取り(つまり読解力)、必要に応じて正しく書き写したり要約して書いたりする力が必要です。

問2、問3も同じです。そして、なんと問4も同じです。「かおるさんはどのような意見を述べたと考えられるか」を解答するわけですから、まずはもとの文章を的確に読み取る力が必要です。

それにしても問4は難問ですね。解答の条件を理解するだけでも相当の読解力が必要ですし、条件に沿う形で書く力も必要です。

実際に解いてみればわかると思いますが、鍵になるのは読解力です。もとの文章を読み間違っていては、その後の思考・判断・表現の全てが間違った方向にいってしまうからです。

テストで「思考力・判断力・表現力を測ると言いつつ実際は読解力が鍵になるのです。

なぜそうなるのでしょうか?

本当に受験生の「思考力・判断力・表現力」を測りたいなら、一番いいのは作文や論文と個別面談で、何らかのテーマについて条件をつけずに自由に解答させることです。

それなら、思考の独創性や表現の創造性を垣間見ることすらできます。

でも、それは実現不可能です。何十万人もの受験生の合否を短期間で決めなければならないからです。そもそも、採点者による主観が入り、公平性の担保ができません

そこで、膨大な量の答案を短時間で、しかも「できるだけ公平に」採点するために、条件をつけて採点しやすい形式にすることを優先せざるを得ないのです。つまり、もとの文章を示し(これに沿って解答するという条件がつく)、条件つきの問を出して、条件つきで記述させる、という形です。

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