しかし、いろいろ書いてきましたが、私は入試改革に携わる担当のみなさんは一生懸命やっていると思います。
はじめから不可能なことをやれといわれて、「それは無理だよ」とわかりつつ挑戦しているのです。目指すべき理想の入試と現実の狭間で、なんとか着地点を見つけようと苦闘している姿が目に浮かびます。
理想を追いすぎて現実とのギャップに苦しむ状況、いろいろな声に八方美人的に応えて複雑になりすぎている状況、こういったものが日本のあちこちに見受けられます。
私は不可能なことは不可能だとはっきり明確にした方がいいと思います。なぜなら、入試改革については、その検討期間もそうですが、その後の実施においてはさらに膨大な予算・人員・労力が費やされ、それらがすべてもったいないことになるからです。
それよりも、入試はマークシートのままにしておいて、それだけの予算、人員、労力をもっと別の方に回した方が社会全体のためになると思います。
マークシート式でも読解力を的確に測ることはできます。しかも、主観が入らないから公平です。そして、読解力がわかれば受験生の学力もわかります。
子育て支援から始まって、未就学児の保育・教育環境を充実させる、小・中・高校における様々な子どもの実態に個別対応できるように教職員を増やす、大学の研究と教育の充実、などなどやるべきことはいくらでもあります。
予算、人員、労力をそこに振り向けていって欲しいと思います。
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