店舗を経営する上で、店内を清潔に保ち商品を美しく陳列するのは基本中の基本ですよね。でも、せっかく綺麗で整然とした売り場を作っても、なかなか売上が上がらないという話を聞いたことはありませんか? 無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん曰く、そういったお店は「整然としすぎている」とのこと。なぜ、人は整いすぎているお店では商品を買わないのか、その理由を心理学的に分析してくれました。
あえて整然を崩す
お店を綺麗に保つのは、販売員として当たり前の行為です。清掃をきちんとするとか、整理整頓をきちんとするとか、商品を美しく並べるとか。お客様だって、汚いお店には入りたくありませんから、どれだけお店が綺麗にされているかはお店の評価そのものに直結します。
ただ、綺麗な中にギャップがあるとお客様はそのギャップに惹かれることがあります。例えば、商品が整然と並べられているお店があります。どの商品もきちんと整理されていて、向きも揃っている。確かに見た目は美しいのです。しかし、お客様は、それらの商品を手に取ることがあまりありません。というのも、その整然とした状態を崩すことを恐れるからですね。
よくある話ですが、すでにゴミがたくさん落ちている場所に「ゴミを捨てないで」と張り紙をしてもゴミはどんどん増えていきます。これが、ゴミを全て片付けておくと張り紙などをしなくても、その場所は綺麗に保たれるという話です。綺麗な状態を最初に崩すのはとても勇気がいるので、ゴミを捨てる人がいないのです。
お店でもこれと同じことが起きています。とても綺麗に整然と並べられた商品を手に取ると、どうしてもその整然を崩すことになってしまいます。お客様はそれを恐れるため、なかなか手に取りにくいわけです。逆に、あえてその整然を崩しておくとお客様は手に取りやすくなります。はじめに崩すという心理的な負担が軽減されるためですね。綺麗に保つために整然としすぎると逆効果になることもあるんです。
綺麗に整頓されている商品の中で、あえていくつかだけ、すでに誰かが手に取ったような崩し方をしてみてください。同じ方向を向いた靴の中で、一つだけ向きがズレているとか、きちんとたたまれた洋服の中で、一つだけ広げたような跡があるとか、そんなことです。それがあるとお客様は、「手に取ってもいいんだな」と感じて手に取りやすくなります。もちろん、それを言い訳に汚くなってしまっては本末転倒なのでご注意くださいませ。
今日のおさらいです。
・あえて整然を崩すことで、手に取りやすくする。
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